NHKが3年の月日を掛けて、大河ドラマの枠とは別に歴史スペクタクルとしての『坂の上の雲』が、29日から始まります。故司馬遼太郎氏の歴史観はたぶんに思い込みのところがあって、独断と偏見で満ちている部分も多々見受けられるのですが、歴史物語としてみる分には、心がワクワクして面白いものになると思います。
 つくる会の会長藤岡さんが、この原作を読んで如何に日本の歴史教育が自虐史観に毒されているかわかったといっていましたが、司馬史観の偏見がそう見えたのでしょうか。私は全巻読破しましたが、そんな感想は持ちませんでした。むしろ、明治期の大陸進出に領土的野心はなかったとするのはむしろ違和感を覚えたのです。また明治期の人間はすばらしく昭和の一時期の人間は、気が変になったとしか思えないという風なことも書いてあり、そのことも違和感を持ちました。歴史は連綿と続いていますし、ある時代の決定が、昭和のあの不幸な時代につながっていったことは歴史が証明していることだからです。
 日本の歴史において過去を今の尺度で評価するのはおかしいという人たちがいますが、過ちを繰り返さないためにも歴史は科学たるべきだと思います。歴史はロマンであるとともに、科学です。
 その上で、このドラマを見て行きたいと思います。