ペタしてねダム建設の推進を訴える中年男性や中年女性など地元住民の映像が、各テレビ局のワイドショーや報道番組などで繰り返し流されてきた。
 ところが、これらの地元住民が、実はダム建設推進に深く関わって来た長野原町の自民党系の町議会議員であったことが分かった。町議会議員でも住民には違いないが、その発言は町議会議員の立場からのものではなく、あくまでも一般の住民を装っていたとしか見えなかった。やらせだったのか、それとも取材が来るというので、作業着や普段着に着替えたものなのか。
 八ッ場ダム建設反対を掲げた民主党のマニフェストを実現するために、前原誠司国交相は、ダム建設の中止を宣言した一方、これまで自治体が負担した負担金の全額返還は当然として、できる限りの補償をすると伝えていた。しかし、住民側はまったく受けつけず、とにかく「ダムを造れ」と言い続けていると報道されていた。
 「負担金を全額返還した上で十分な補償までする」ことで、計画を中止にしても住民にとっては何のデメリットもないと思うのだが、こうした反対の声を上げているのが町議会議員だったということで、あくまでも『ダム建設ありき』だということだ。
 一方で住民の反対運動があったから、工事がここまで遅れたんだという声も聞かれる。
 実は、この八ッ場ダムの建設に関わっている7つの公益法人と13の民間企業には、そのすべてに合計で46人もの元国交省の官僚達がいる。天下り先の稼ぎ頭=(公共事業を引っ張ってくる)として、存在しているのだ。また事業の基本方針を決定した検討委員会も、委員長から委員に至るまでそのほとんどが国交省の天下りで組織されており、石原慎太郎東京都知事も名を連ねている。言うなれば「天下りの天下りによる天下りのための公共事業」であり、ダムが計画通りに建設されれば、これらの公益法人と民間企業には巨額の予算が流れ込み、天下りたちの下にいる県議や町議らにも莫大な「キックバック」があるのではないか。そう、その予算の7割が、無駄に使われてしまったということだ。
 ダム建設は、後3割で完成するというが、地元に行ってみれば分かる。出来上がっているのは、ダム本体ではないことが。費やされた年月、工事の進捗状況から言って何に使っていたのかと思うほど『ダム本体工事』は手付かずのままなのだ。
 もういい加減にこんな税金の垂れ流し、公金に群がる『シロアリ』たちも含めて退治するべきだと思う。