「中華人民共和国」のうち、自前の語は「中華」だけだよ。人民も共和国も、日本人が作った言葉なんだからね。中国の国名は、7文字のうち5文字が日本製です。人民も、共和国も明治の日本人がフランスや、イギリスの言葉を訳すときに編み出した和漢語でした。
「中華人民共和国」という国名の70%は、日本語(和製漢語)です。
上海外国語大学日本語学部の教授をされていた陳生保『中国と日本――言葉・文学・文化』(麗澤大学出版会2005年)の中に、毛沢東の『実践論』の分析があります。
陳教授が「日本で作られた漢語なしには、中国人の思想を書き表すこともできない」例としてあげている毛沢東の論文「実践論」の中、< >をつけた語彙は日本から中国へ伝わった漢字語です。毛沢東の原文では< >がついていませんが、同じ漢語で中国語を書いています。
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マルクス以前の<唯物論>は、人の<社会性>を無視し、人の歴史的発展を無視したもので、認識<問題>を観察した。それがために、認識と<社会>実践との依存<関係>、すなわち、<生産>と<階級><闘争>にたいする認識の依存<関係>を了解することができなかった。
まず第一に、マルクス<主義>者は、こう思う。人類の<生産活動>は、最も基本的な実践<活動>であり、その他のすべての<活動>を決定するものである。人の認識は主として、<物質>の<生産活動>に依存し、しだいに、<自然>の<現象>・<自然>の性質・自然の法則<性>・人と<自然>との<関係>を了解する、その上、<生産活動>をとおして、各種の、ことなる程度で、しだいに人と人の一定の相互<関係>を認識する。
これらの一切の<知識>は、<生産活動>をはなれては得ることができない。<階級>のない社会では、どの人も<社会>の一員という資格でその他の<社会>のメンバーと協力し、一定の<生産関係>を結び、<生産活動>に従事して人類の<物資>生活の問題を解決する。いろいろな<階級社会>では、各<階級社会>のメンバーは、やはりいろいろ違った方式で一定の<生産関係>を結び、<生産活動>に従事して人類の<物資>生活の<問題>を解決する。これが人の認識発展の基本<的>なみなもとである。
ところで、マルクスって中国語でどう書き表すのだろうか。
日本語は表意文字の漢字を万葉仮名として日本語の音に合わせ、訓読みと音読みに分けるとともに、意味のある言葉としてではなく音だけを取り入れて日本語としたものがかなりあります。ひらがな、カタカナがあるおかげで、外来語をその音に合わせて表記することがいとも簡単に行われています。