「男子の先輩たちも、渡辺と話さなくなったでしょう。渡辺のことを見捨てたんじゃない。1年生の時は、先輩たちも物珍しさもあって渡辺を相手にしていたけど」
深瀬はそう言った。やめて欲しい事件の時。
三回の「会議」の1回めにそう言った。
それから、事件が表面的にだけ収まって、男子の先輩のうちのひとりに聞いた。
「先輩たちは私を見捨てたのですか?」と。
先輩は言った。
「深瀬がそう解釈しているだけだ。1年生もいるし、他に話す部員もいるから、おまえに話すのが減ったんだ。・・・そんなことを確認してどうするんだ?」
深瀬の思い込みは前からだった。
人のやること全部、悪く受け取る人間と一緒にいたくない。