先輩は浦野さんと出会って、そしてミヤモト化粧品という生き甲斐を見つけて嬉しそうだった。が、1年して「やめる」と言った。
「ああいう仕事は派手そうに見えていいなと思うのよ」と人は言う。
浦野さんのことは、先輩からいろいろ聞いていた。
「この年になって親友が出来て嬉しい」
そう手紙に書いていたと思う。親友、と言う。
が、浦野さんのほうでは「(子供の営業所だから)自分が産んだ子だから」と比喩をまじえて言い、なんとなく上下関係を感じてしまった。年齢は浦野さんのほうが五歳ぐらい上だっただろうか。よく覚えていないけど。
浦野さんと電話で喧嘩みたいになった後、先輩に相談すると、先輩は言った。ちょっと細部は曖昧だけど。
「指導する義務もないのに言ってくれるって、有り難いことじゃない?」
始めのほうの記憶は曖昧だけど、先輩は浦野さんがいちいち説教することが「有り難い」と言う。あんなことが有り難いの? ありがた迷惑だった、私にとっては。自分の意見を押しつけてガンガン自己主張するし。