息子は、自分の好きなものを突き詰めていくパワーが、ものすごかった。
きっかけは1歳9ヶ月の頃。
沖縄へ家族旅行に行った時、私たち親もホテルでゆっくりする時間が欲しくて、新しいおもちゃとDVDをいろいろ持って行った。
その中にあった電車のDVDを見せてみると、息子は画面いっぱいに走る電車に釘付けになっていた。
想定していたよりも真剣に、時折興奮しながらそれを観ていて、初めて息子が夢中になっている姿に私も嬉しくなった。
それからの息子は、頭の中がずっと電車でいっぱいという感じで、いつも電車のおもちゃで遊ぶようになり、絵本も電車の絵が描かれているものしか選ばないようになった。
お出かけするときは30cmほどの山手線のおもちゃをいつも持っていき、常に腕に抱えていた姿は忘れられない。
電車に乗るのも大好きだった。
乗っているあいだはいつもご機嫌でおとなしく、車窓から外を眺めて、隣の線路に電車が走ってきたら教えてくれた。
その頃、下の子を妊娠中で公園遊びが億劫になっていた私は、それに甘えて電車の見えるカフェでお茶をしたり、山手線にずっと乗って一周したりと、お陰でゆっくり過ごすことができた。
幼児向けの電車図鑑を一緒に見ながら、窓の外を走っている電車をふたりで探した時間は、今でも心が温かくなる大切な思い出だ。
「めめちゅ!(山手線)」
「けーてーちゅー!(京浜東北線)」
「ちょーちゅーちぇん!ちょーちゅーちぇん!(中央線)」
見つける度に指をさして、必死に教えてくれる姿が食べたいくらい可愛くて。
子どもの一生懸命な姿に、親は弱い。
私たちも、息子の電車好きにとことん付き合っていくと誓った。
それから息子の遊び方もだんだんと進化。
子鉄くん(鉄道好きの子、子供の鉄ちゃん)にあるある、の遊びなのだが、自分の顔半分を床にくっつけて、至近距離で車輪の動きを舐め回すように確認しながら、電車のおもちゃを動かす。
たまに、
「ガッ!シッ!プー!」(何の音や!?)
「えびすー。えびすにとうちゃくです。しゅっぱつしんこ〜、ピュー。がたんがたん…」
もっと本格的な鉄道図鑑を買ってあげると、のめり込むようにページをめくっていた。
どの電車がどのエリアを走っているか、漢字で書かれた電車名や駅名、全国レベルであらゆるものを覚えだし、一気に知識を拡げていった。
私も「今度○○線に乗りに行こうよ」とか、一緒に電車の話をしていたのだが、年中さんの途中くらいからはレア車両の「東横線の青ガエルに乗りたい!」「京急線のイエローハッピートレインに乗りたい!」と、要望がどんどんマニアックに。
○○線の新型車両が走行開始したからと、その車両が来るまでホームで1時間近く待つこともあったなあ。
そこから先はもう息子の知識の豊富さについていけなかった。
路線をかなり把握していたので、どこで乗り換えたら家に帰れるか、乗り換えアプリのように息子に聞いていた。「日比谷線の○○で乗り換えてー、都営浅草線の○○で乗り換えてー、そのあとJR!」
乗り換える時も先導を切って道案内してくれる姿は、幼稚園児ながら頼もしかったよ。
息子が鉄道好きになってくれたおかげで、私たちはいろいろな電車に乗るために北から南まで出かけていくことになる。
家族でたくさんの電車旅に出かけることができた。
私たちが息子を連れて行ってあげたと思っていたが、私たちにたくさんの思い出と景色を見せてくれたんだなと今は思う。
🟢🟢ちゃん、ありがとうね。大好きだよ。