赤ちゃんの頃から電車が大好きで、このまま順調に「鉄ちゃん」へ突き進むと思われていた息子。

 

それが小学校に上がるか上がらないかという頃に、まったく別のものに興味を持つようになった。

それは、野球。

 

何がきっかけだったかちゃんとは覚えていないけれど、たぶんプロ野球チップスというお菓子に付いてくるカードだったように思う。

チップス1袋につき、選手のカードが2枚入っていて、その選手のデータや成績が記載されている。

データ好きの彼にビビッとくるものがあったのだろう。

 

プロ野球選手の所属チームや背番号、出身校、昨シーズンの成績。男の子なので、特に勝ち負けがあると燃えるようだ。

ピッチャーのカードには、前のシーズンの成績が8勝6敗なら「勝8 敗6」という風に記載されているのだが、息子はカードを見ながら「〇〇せんしゅ!しょう8!ぱーい6!」と読み上げていた。

読み方のかわいさに私たち親もニヤニヤしながら訂正せずに聞いていた。

 

選手名鑑を手に入れると、またものすごい勢いでのめり込んでいった。

暇なときはずっとそれを眺めてデータを頭にインプットしていく。好きな球団ともなると、コーチや育成選手の名前のほか、背番号も完璧に覚えていた。

試合に関しても、「何月何日は、誰々が決勝タイムリーを打って、スコアが何対何でどこどこのチームが勝ったよ」というような情報を、淡々と教えてくれた。

こういった記憶に関しては神がかっていて、私自身聞いてて震えることもあるほどだった。

 

小3からは少年野球チームにも入って、もちろん楽しく取り組んでいたけど、息子はYouTubeで過去のドラフト会議を見たり、トレード情報に敏感だったり、スタメンのシミュレーションをしたりと、プレイヤー側というより裏方側寄りの考えをするのが好きなようだった。

息子の将来の夢はプロ野球選手だったけど、私は選手よりチームの運営に携わるような職種の方が向いてそうだなあ、なんて思っていた。

 

家族がリビングでくつろいでそれぞれのことをしているとき、息子は選手名鑑を読み込んだり、集めたカードをチームごとにファイリングしたり、選手の応援歌を練習したり、録画していた野球ニュースをチェックしたり。いつも何やら忙しそうにしていた。

「そんなに野球ばっかりで飽きない?」

「え?ぜんぜん〜」




 

息子は自分に好きなものができると、それしか目に入らなくなるほど没頭する。

 

「ようちえんのなかで🟢🟢ちゃん(自分のこと)がいちばんでんしゃのこと知ってるんだよ!」

「おれは野球のことだったらなんでも知ってる!野球だけしてればそれでいいから」

 

『大好きなものがある』ということに、息子は大きな自信と誇りを持っているようだった。

もっと他のものにも興味を持ったほうがいいのではと心配になって、「こんなのもあるよ」「あんなのもあるよ」といろいろ示してみたこともあったが、息子がそういったものに関心を持つことは全くなかった。

 

10年という短い生涯の中では、そんな時間ももったいないと思っていたのだろうか。わかっていたのだろうか。

私はこれまで40年以上生きてきて、ここまで何かにハマったこと、没頭したことはない。

そして何か誇れるようなものもなく、自信もない。

そう思うと、彼は私よりももっともっと、自分の欲する道を突き詰めて人生を味わっていたように感じる。

 

いいように解釈しすぎかもしれない。

でも、息子の眩しいくらいの情熱を誇らしく思うと同時に、私もいつか息子のように熱中できる何かを見つけられたら。

息子をもっと感じることができるような気がする。

 

 

🟢🟢ちゃん、

🟢🟢は好きなことを見つけるのがとても上手だよね。

お母さんは🟢🟢のそんなところが、とっても素敵だなっていつも思っているよ。

たくさんの輝きを見せてくれてありがとうね。