「いのくまさんとニューヨーク散歩」
いのくまさんは1950年代半ばからニューヨーク暮らしをはじめ、
具象から抽象に表現が変化したそうな。
ウィラードギャラリーの所属作家として10回も個展開催もしている。
抽象画ははっきり言って、よくわからない。
いろいろ考えても仕様がないので、
「あっ、これいいな」くらいで深く考えないことにしている。
いのくまさんがニューヨーク滞在中に「小説新潮」の表表紙として
街角の風景を描いている。
一枚一枚にいのくまさんのエッセイが添えられている。
街角のニューヨーカーやタクシードライバー
骨董店のおやじをあたたかい眼差しで観察していたんだなぁと
ほのぼのとした気持ちになった。
「私は何でもない街の角にたたずんで其有様をじっと見て居るのが好きだ。
自分も其仲間の様な気持ちになって、別に不思議は少しもない。
自然の面白さである」1958年5月号より
展覧会の編集者・岡本仁さんは
当時のいのくまさんがニューヨークから受け取ったものでいちばん大きなものは
「自由」だと述べている。
その自由は何をやってもいいと背中を押してくれる雰囲気と
その自由が人の迷惑にならないようにするのは
規則ではなくて、人々の優しさや小さな親切心なのだということを
いのくまさんは伝えたかったのではないかと・・・・。