心の瘡蓋 | 謎のこうのとり 

今週、注文していた2冊の本が届き

昼休みにちょこっとだけと読み始めたのが

いけなかった。

暗くて、重くて、本から現実に戻るのに時間がかかり

午後の仕事は散々だった。

帰宅して、再び読み始めたが、薄い文庫本にもかかわらず

読了後、長い旅に出て、見知らぬ町に夜遅く到着した時の

不安感、そして夜遅く点っている店の灯りに

ほんの少し心が癒されたそんな気持ちになった。

 

 

「コリーニ事件」フェルディナント・フォン・シーラッハ著

こういう小説は戦争の混乱の中で見過ごされてきた

市井の人々の心の瘡蓋を無理やりはがす

痛みが感じられる。

憎しみの連鎖は、今も確かにあり、どんなに世情が

変わったとしても、決して断ち切られることはないのだと

歴史の中に埋もれている不都合さにあらためて感じ入った。