二日目、午前5時頃あのいやな感覚で目が覚める。
喉に落ちてきたものを洗面所で吐き出すと
やっぱり鼻血だった。
二週間前の鼻血事件を思い出し、今日の予定は取りやめて
耳鼻咽喉科へ行こうと決断する。
(予定では山奥の古刹を訪ねることになっていたが、もしまた鼻血が
止まらなくなったら、山奥では心細いと思ったのだ)
月曜日もやっぱり雨。
ホテルから徒歩で8分ほどの耳鼻科に行き、一番で看てもらった。
朝方でた鼻血が出たところがすでに瘡蓋になりつつある。
この瘡蓋が外れないように薬を塗り、バンドエイドならぬガーゼを詰め
そのガーゼが外れないように綿花を詰めた、
このままの状態でできたら3日いてくださいとのこと。
そして、「このマスクをしてください」と渡された。
なぜ?
鏡を見ると詰めた綿花が鼻の穴から飛び出しているのだ。
おおっーー最悪だ。
マスクをしたもののメガネは曇り、私の唯一の自慢である
嗅覚も喪われてしまい、私ではなくなってしまった。
ホテルに戻る途中、ドラッグストアで曇らないマスクとメガネの曇り止めを買い
その足でJR奈良駅の定期観光バス申し込みカウンターに行く。
鼻に詰めたガーゼから薬が染み出て、マスクを数回交換しなければならないし、
嗅覚も視覚も奪われたのなら、一人での観光は無理だと判断したのだ。
幸いなことに20分後に出発する「法隆寺・西ノ京1日コース」が
ただ一席だけ空いていた。