数年前、ジャケ買いならぬ表紙に魅かれて買った芸術新潮
この錆ついた古道具の色合いに目が釘付けとなったのだ。
内容もすばらしかった。
表紙の写真はルーアンの鋳物工場で使われていた箱。
ポール・ベール市場で坂田和實さんが買い求めたもの。
そして1999~2003年に連載された坂田和實さんのエッセイ
「ひとりよがりのものさし」が丁寧な布貼りの一冊となり
平成15年に発行された。
1ページ1ページを開くたび
心に響く写真と文章をゆっくり心に染み入るように目で追う。
写真に見入って、50編からなるエッセイを読み終えるのは
たぶん時間がかかるのではないかと思う。
自分の価値観や美意識で選んだ道具は
生活の中でいつまでも自分に寄り添い、
月日とともにもっと好きになる。
そんな道具を選ぶ自分の目にいつも忠実でいようと思った。