蝉しぐれ | 謎のこうのとり 



土曜日、休日出勤。

朝、照りつける日差しを避けるように影を追い掛けて歩いていると
ポツンと一つ、蝉が静かに落ちていた。
まわりは城山で緑が多く、緑の空からは一斉に鳴く蝉の声が降りかかってくるかのようだ。
そんな中、ポツンと息絶えた蝉。

蝉の寿命は短いと言われるが、実際は地中に6~7年、そして地上では
約1か月くらいなんだそうだ。
地中に比べると、はるかに危険が多い地上で長く生きられる蝉は少ない。

遺伝子に組み込まれた子孫を残すという仕事を全うするために鳴く蝉。
小さい命の叫びにも似て、この日は特に切なく聞こえた。

そんな感傷的な気持ちをなったのは、新聞やニュースで見た人間の
繰り返される悪の循環。
小さい命でさえ、与えられた短い人生を懸命に生きているのに
誰がその命を奪う権利があるのだろうか。