幻想的な霧深い遠景
ジェリーが運転する車は地元の人しか知らないんじゃないかと思われるような
小さい道を走る。
一体この先にどんな景色があるのだろうと思っていたら、車が停まった。
少し歩いて、辿りついたのが「スコッツ・ビュー」という場所。
ここは生涯バラッドを収集したウォルター・スコットが愛した景色。
スコットの葬儀の時、彼の愛馬がこの場所を覚えていて、主人の遺体を
運ぶ途中ここで足を止めたそうだ。
ウォルター・スコットはスコットランドを代表する小説家で、
19世紀にシューベルトが作曲した「アヴェ・マリア」の美しい旋律に
ついている歌詞はスコットの「湖上の美人」という叙情詩の一節。
スコットは静かな田舎の生活を愛し、ボーダーズ地方のドライバラ寺院で
今は眠っているそうだ。
スコットが暮らした小さい村を車で通った時、ジェリーは熱心に彼の
説明をしてくれた。
スコットランドの人たちにとって、スコットは誇り高き存在なのだろうと
思った。