私は母は65年前の大地震で家の下敷きになり、一緒にいた母と弟を亡くした。
もう65年も前のことなのに、テレビで各地の大きい地震の模様を見るたびに
体調を崩し、病院に通う。
今回も地震が起こった時、絶対にテレビをつけてはいけないと電話をした。
帰宅すると、目を真っ赤にして玄関先まで出てきた。
私の忠告を無視してテレビを見たのだ。
それから、母はテレビを見ていない。
東京にいる孫のことを「あの子は無事なの?」と何度も尋ねる。
母のように大地震を体験し、悲しい思いをした被災者の心はいつ癒えることが
できるのだろうか。
もしかしたら一生癒えることがないのかもしれない。
それほど大地震は人に心の傷を深く刻みつけるのだ。
父が亡くなった時、いつか必ず来るという大地震が起きる前に母の迎えにきてほしいと
心の中で祈った。
もう恐ろしい思いは母にさせたくない。
妹も偶然にも同じことを棺の中の父に頼んだそうだ。
被災者の心の傷が少しでも癒えますように、ただひたすら祈ります。