私の家と勤務先のちょうど中間には、小高い山があり、その頂上には城がある。
毎日、この城の下を回り込み、大手門の中をつっきるのだ。
小高い山には木々が鬱蒼とし、市中の山居の趣きがあり、お気に入りの道である。
その木々の中にひと際、私の注意を引く一本の木がある。
この季節、葉はそれぞれの速度で紅葉し、なんとも微妙な色合いの葉が重なって
錦を織りなしている。
この木の所まで来ると、ついつい足をとめ、見上げてしまう。
一年のうちのほんの数日の自然のキャンパス、芸術家の葉たちに「ありがとう」を言う私である。
