「追悼・片岡珠子展」と「重森三玲展」
片岡珠子さんの作品の前に立つと、その作品から気迫のような
何か言葉にできないものに圧倒される。
とても細緻に描いている部分があるかと思えば、
書きなぐるように荒々しいタッチが
あったり、この絵は1人の方が仕上げたのかなと思うくらい
いろんな表現を見ることができる。
一枚の絵を仕上げるのに、とても時間をかけて取り組まれている。
例えば、海を描くとき、すぐには絵を描かず、何日もじっと海を
眺め、海と対話している。
歴史上の人物を描く場合は、かなり入念に下調べをして
その人となりを熟知し、初めて絵を描き始めている。
見たままではなく、内面も描こうとしているのだ。
だから、見るものは圧倒する何かを感じることができる。
こんな風になっていただろうと想像をしながら描いたそうだ。
雪舟を描くときは、90才を過ぎて初めて水墨画を学んでから
取り掛かったそうだ。
何歳になっても、描くために何にでも興味を持ち、意欲的だった
片岡珠子さんの作品に元気をもらった。
何かを始めるとき、「もう遅い」なんて言葉はないのだ。
やりたいと思う気持ちが大切なんだと、片岡珠子さんに
教えてもらったような気がする。