「僕ちゃんの名前がありましぇーん」と、とある不動産屋の二代目が言った。
県内の謎の団体に属す紳士たちの名簿に名前がないと訴えてきたのだ。
6月末まで、この団体の担当だった私のミスだった
すぐに「僕ちゃん」に謝りの電話をしたら、意外と優しく許してくださった。
その後、印刷会社のご厚意で、この方1人の住所のシールを作ってもらい
すべての団体に配付した。
このお方、35才、いまだに独身。
見た目も今風のイケメン。
私は言った、「なぜ独身なんですか?かっこいいのになぁ。ホントに彼女いないの?」
僕ちゃんはテレながら「それがいないんですよ」
ふーん、ホントかいなと半信半疑の私。
そして、今日は白百合さんのピンチヒッターで、この団体の会議に出る。
早速、ぼくちゃんに再度お詫びをする。
相変わらずの優しい顔で
「ぼく、退会させられたと思っちゃった」
「まさかぁーでも、一人用のシールを配ったとき、紳士の皆さんが
この方誰?って、尋ねてきたので、ぼくちゃんの不動産屋の宣伝しときました。
かなり有名になったと思うけど」
と自分のミスを棚にあげて、恩着せがましく言う私
「あれっ、こうのとりさん、口角が切れてるね、ストレスだよね」
おおっーわかってらっしゃる。でも素直じゃない私は
「そうなのー、でもホントは食べすぎ。大口あけて、食べたら切れたずら
」
ぼくちゃんが結婚できないのは、きっと皆に優しいからだ。
誰か1人の女性のために、その優しさを注ぐ時がくることを心から
願った私だった。