動物が自由を謳歌する平和な世界 | 謎のこうのとり 


      
   この日は展覧会の最終日だった。

   京王井の頭線「神泉駅」から美術館に向かう。

   なだらかな上り坂・下り坂が続く静かな道。


       

松涛美術館の外観は石造りのゴツゴツとした粗野な印象をもった。

しかし、中に入ると、中央の吹き抜けの空から光を集め

地下部分の噴水に反射し、控えめなライトとともに繊細な空間を

作り出していた。

    
      
そして、この日は雨、かすかなお日様の光の中、暖色系の灯りが

幻想的な雰囲気を醸し出していた。


 大道あや

  60歳にして独学で絵を描き始めた異色の画家という紹介があった。

  自営する花火工場での爆発で重症を負った息子、翌年夫の死という

  相次ぐ苦難に遭いながらも、絵を描くことによって、生きる気力を持ち続けた

  画家の絵は、草花一本一本にまで、生命力が溢れていた。


  
         

  

一体、何色使っているんだろうと思うほど、氾濫したたくさんの色で

埋め尽くされた絵。しかし、不思議なことに色と色はお互いを引き立たせ

ちっともくどくなく、うまく調和している。


            
2階には、大道あやの絵本の世界があった。

小さい生き物たちが、毎日を楽しく生きる喜びが満ち溢れた絵。

ほんわか優しい、あたたかい気持ちになった。

見終わったあと、駅までの道で見かける雀や虫、小さな草花を

見る自分の目が少しかわったような気がした。