今朝、台風情報をニュースで見る。
私が搭乗する東京へ行く便は完全に台風に直撃だ。
1日遅れで上京する妹に電話する。
「絶対欠航に違いない。上京は来月にしない?」
「ええーっ、大丈夫。私の乗る便は東京に辿り着く、
お姉ちゃんは夜行バスで来たら、どぉ?」
なぬぅー私がギックリ腰でトロトロしていることはモチ知っている。
その姉に向かって、一晩中狭いシートで東京まで来いとは
おみゃーは鬼妹ずらよ。
まっ大人気ない事は言わないことにして、「無理」と答える。
妹は、1人で美術館めぐりをすることに恐れを抱いているのだ。
思えば、幼き頃より、私は30分早く世に出たばかりに「姉」として
妹に尽くしてきた。
小学校の時、妹が病気で欠席するときは優しい言葉をかけ
一刻も早く学校から帰宅し、世話を焼いたものだ。
しかし、立場が逆転すると、1人で学校へ行くのがいやな妹は
超機嫌悪かった。
私達はそれぞれ姉として、妹としての自覚を充分過ぎるほど
全うしてきたのだ。
何か悩みがあると「底なし沼」の畔に立ち、今にも飛び込もうとする妹を
私は思いつくあらゆる言葉を駆使して、思い留まらせてきたつもり。
その妹がこと台風に関して、前向きにこうのたまもうた。
「大丈夫、台風は南下する、速度が速くなるかも、私の乗る便は
ぜぇっーたい飛ぶに決まっている」
例え、飛んだとしても東京は大雨で、交通機関がまひする可能性を
微塵たりともお考えになってない。
あくまでも前向きな妹に、何も言えず、電話を切った。
夕方、反省したのだろうか?妹から電話があった。
「私の乗る便におねえちゃんが乗って、私はバスに乗る。」
なんという豹変振り。
しかし、なんとしてもこの週末に姉とともに上京をするぞという妹の確固たる
意志は変わりないようだ。
ひょっとしたら、愚直の一念、岩をも通す勢いで台風はどうにかなるかも
しれないと思うのだった。