事務所の電話が鳴る。
「はい、謎の団体事務局、謎のこうのとりです」
「あれぇーお盆休みじゃないの?」
フンッじゃぁー、どうして電話してきたの
と言いたいところを
ぐっと堪えて、「今日から平常なんですよ」と答える。
街中の車の往来も少ないし、銀行の窓口にいる美人のお姉さんも
お休みだったし、今日の謎の団体の会議の出席者はいつもの半分。
しかし、Sホテルは県外ナンバーの自家用車が駐車場に満車状態。
ロビーではおちびが走り回っている。
くたびれ果てたお父さんがフロントでチェックインをしている。
みなさーん、今晩はゆっくり温泉に浸かって、上げ膳据え膳で
寛いでくださいねーと心の中でつぶやく。
しかし、刺身の上にのっかっている大蒜は控えめに
お願いしますよ。
朝、エレベーターの中で息を止めるのは限界がありますからね。