偏頭痛 | 謎のこうのとり 

私と偏頭痛の付き合いはかなり長い。

長く付き合っていると、それなりに癖が

わかり、ひどくならないうちに対処する。


この偏頭痛・・・息子は私よりもひどかった。

息子が頭痛を訴え始めて、何軒か

病院に検査してもらった。

ひょっとして、おちびの時、頭を打ったことで

今頃、症状が出始めたのか?

母はかなり心配したのだ。


初期症状があらわれたら、すぐに服用するように

頭痛薬はカバンの中に常備させた。

それでも、高校生の時は3か月に一度くらいは

頭痛と嘔吐で保健室から主治医のいる病院に

直行していた。

学校から電話があるのは決まって木曜日。

勤務先のすぐ近くの病院の前で

タクシーで病院に向かう息子を待つ。

息子は片手にビニール袋を持ち、真っ青な顔で

やってくる。もちろん、上履きのままだ。

すぐに点滴、吐き気止めの座薬。

冷たくなった息子の手足をさすりながら

私のいやなところが似てしまったと懺悔の気持ちで

胸がいっぱいになる。

主治医が「この子は県外には出せないね」と顔を

曇らせる。

1度は救急病院に夜中に走りこみ、なかなか効かない

痛み止めの点滴から、モルヒネを打ったこともある。


そんな息子の上京が決まったとき、

アパートを決めたその足で近所の病院を

不動産屋に車で案内してもらった。

そして主治医に紹介状を書いてもらい、

その病院に送ってもらった。


上京した息子、その後、母の心配をよそに

偏頭痛はなくなった。

たまに頭痛の前兆があるけれど

すぐに頭痛薬を服用するから大丈夫らしい。


病院の看護士さんが

「ぼくちゃん、どう?」ってたずねてくれる。

それがねぇ・・・と愚痴っぽく話す。

大丈夫とわかっていても、取り越し苦労だと思いつつ

帰省したときは買ってきた頭痛薬をカバンの中に

そっと入れるのだ。