未完の完(超短編)

終わらずして終わっていることを未完の完と呼ぶならば終わっていながら未完であるときは何と呼べばいいのだろうか。

進藤は行き止まりの道に立ち尽くすかのような気持ちでそんなことを考えていた。

もしひとが何かを成し遂げて全てが終わったとするならばそこで完結してしまい前に進めなくなる恐れがある。

むしろいまだ未完ではあるがいちおう完とすることで終止符を打ち、次のステップに進むほうがずっといいのではないだろうか。

だから私はこの描きかけの絵から離れるためにも筆を置こう。

進藤はそう決めるとイーゼルの部屋から立ち去るのだが出口で最後にもういちどと思い振り返った。

するといまのいままで未完のはずであった絵が不思議なことに完成しているではないか。

しばしその場所で立ち尽くしたままの進藤の姿はまるで悟りを得た画聖のように淡いオーラの衣に包まれているように見えた。

かくして進藤が新しい作品に向かって突き進むのみとなるのは必然であった。