日曜日に行われる凱旋門賞と同日に行われるフォレ賞というGⅠに、日本の馬ジェニアルが出走を予定しています。
注目度は凱旋門賞に出走するクリンチャーの方でしょうが、フォレ賞は日本の競馬界に馴染みのある馬が勝っています。
その馴染みのある馬とはノーザンテーストのこと。
近代の日本競馬の基礎を作った大種牡馬が、フォレ賞の勝ち馬として名を連ねています。
半世紀近く前、社台グループの総帥、故吉田善哉氏は海外のホースマンから種牡馬を買うのではなく仔馬を買いなさい、というアドバイスを受けて息子の照哉氏に
「ノーザンダンサーの仔馬を買え」
と命じました。
父の命を受けて、照哉氏が競り落とした馬がノーザンテーストだったのです。
名のある種牡馬は高価なうえに、当時「名馬の墓場」などと揶揄されていた競馬後進国の日本に売ってもらえなかった時代。
実績については未知数ながら、実績を残した競走馬や種牡馬を高値で輸入するより、仔馬ならコストも安くなるなどのメリットがありました。
このノーザンテースト購入の経緯は有名な話。
その後前述したフォレ賞を勝つなど競走馬生活を送ったのち、種牡馬として日本へやってきて、11年連続中央リーディングサイアーにたつなど大活躍しました。
リーディングサイアーもさることながら、個人的にノーザンテーストの功績で一番大きかったのは「繁殖牝馬」だったと思っています。
オークス馬ダイナカール(エアグルーヴの母)を筆頭としたGⅠ馬だけでなく、多くのノーザンテースト牝馬から後の名馬が誕生してきました。
サクラバクシンオー、ステイゴールド、ダイワメジャー、ドゥラメンテ、スクリーンヒーローなどなど。
血統表にノーザンテーストの血が入っている馬を全て列挙するのが難しいくらい、今の名馬の多くに、ノーザンテーストの血が脈々と流れています。
ノーザンテーストがいなければ、トニービンもサンデーサイレンスも日本へやってこれたかどうか。
サンデーサイレンスが飛躍的に日本の競馬レベルを引き上げてきましたが、その土台をつくったのは紛れもなくノーザンテースト。
ジェニアルにはノーザンテーストの血が流れていませんが、名種牡馬の代表勝ち鞍であるフォレ賞でどんな結果を残してくれるのでしょうか。