筆者の米国株式市場に対するこれまでの見方は、先物主導の需給による上昇と考えてきており、基本観としては引き続き需給相場を想定していますが、ここに来て、若干の潮目の変化を感じています。
それは、昨日、米原油先物相場は8営業日続落し、指標となるWTI1月渡しは前日比0・67ドル安の1バレル=69・87ドルと10月上旬以来約2カ月ぶりに終値が70ドルを割り込み、直近高値の82ドルから15%近く下落し、日足チャートでは明らかな下落相場を示現しているものの、株式市場は、原油先物が直近高値の82ドルをつけた10月よりも高い位置にあることに加え、原油先物の今月に入ってからの急落にもかかわらず、ラウンドトップとはいえ、高値維持の動きを続けています。
また、先日、なかなか下げないとコメントしたABX指数も引き続き堅調を維持して引けています。
米原油先物相場の下落は、ドル安が作用しているとの見方が大勢ですが、筆者としては、持続的な流れであるかどうかは時間の経過を経なければわからないことながら、他の指標との比較において、投機資金の流れに変化が生じている可能性があると考えます。
折りしも、昨夜米商務省が発表した10月の企業在庫・売上高統計の企業在庫は、エコノミスト予想の前月比0.2%減に対し、0.2%増と前年8月以来初めてプラスに転じ、対売上高在庫比率は、現在の販売ペースで1.30カ月分となり、前月の1.31カ月から縮小しています。先日の米雇用統計のポジティブサプライズとなった大幅改善には、米政府による恣意的な操作であるとの観測も流れていましたが、改善傾向にあることは事実であり、同じく昨夜発表されたISM製造業景況指数(下図) は、既に昨秋のリーマンショック以前の数値まで改善してきています。
鉱工業生産指数も、7月にプラス転換した以降、小幅ながらも4ヵ月連続でプラスを維持しており、景気実態は、政策による下支えがあるにしても改善への歩みが感じられます。また、TARP資金450億ドル(約4兆円)の投入を受けたバンク・オブ・アメリカが全額返済を申請し、シティグループとウェルズ・ファーゴも追随する動きを見せていることなどのニュースもポジティブに受け止めるべきことと考えます。
まぁ、米国市場の情報は国内市場に比べて圧倒的に少なく、また体感温度はチャートのみでしか測ることができないため、一部の情報や指標に頼りすぎた分析であるかもしれませんが、米国における資金の流れが、消費意欲の改善を背景に投機商品から実態経済の生産現場へと移り始めていると見ることもでき、出口戦略や失業率の高止まり、ドバイ問題など懸案を抱えながらも、米国市場の直近の上昇が需給に頼ったものばかりでなく、変化への期待であると正当化することも可能と考えています。
来週の米国市場は、新規失業保険申請件数と消費関連以外にはあまり重要な経済指標の発表はないことから、騰落レシオが高値圏に達しつつあることから、調整を挟みつつも、引き続き、これまでの流れが継続することが予測されます。
続く

