朝のコメントにも書きましたが、昨夜のNYの後場引け前30分の下落は、まさに売りが売りを呼ぶ「急落」と言ったところで、マーケットのセンチメントとは5分で変わるとの言葉通りの下落でした。著名アナリストが米銀大手ウェルズ・ファーゴの投資判断を「中立」から「売り」に引き下げたと伝わったことがきっかけと言われていますが、まさに、上昇を続けてきた局面で利益確定の引き金が引かれたという形での下落であり、本日の新規失業保険申請件数などの発表を前に手じまいしようという、テクニカルなものだと考えます。
S&P500社のうち、すでに100社超が業績発表を終えた結果は4社に3社が増収増益であり、増収基調は維持されているとの報告もあり、決算発表が材料出尽くしになるにはまだ早いと考えます。
NY株安を受けた本日のNK225は前場では122.61円安の10,210.78円と下げましたが、後場は買いなおされ、66.22円安の10267.17円で引けました。買い戻しの理由として、中国国家統計局が22日発表した第3・四半期の国内総生産(GDP)伸び率が前年同期比8.9%となり、事前予想とほぼ同じであったことから買い安心感を誘ったとの報道もありますが、昨日もコメントしたように、中国の経済指標の信頼性は薄く、まぁ落ち着きどころの良い数字にまとめてきたというところであり、初めから悪い数字は発表されないという安心感が漂っており、中国のGDPが材料視されたというより、ここ数日来のNYが安かった翌日と同じ前場安、後場戻しの一環であると感じています。つまり、相場はやや強調局面にあるものと考えています。
本日発表された中国の経済指標を少し紹介しますと、「都市部固定資産投資は、1─9月は前年比33.3%増加し、1─8月の同33.0%増から伸びが加速した。上期の投資は圧倒的に政府主導によるものだったが、現在は民間の不動産ディベロッパーによる投資が、融資の受けやすさと景気への信頼感の高まりに対応して急増している。9月の小売売上高は前年比15.5%増となり、これも8月の同15.4%増から伸びが加速した。」というものです。
筆者は、都市部固定資産投資の前年比33.3%に特に注目しました。記事中にもある通り、「民間の不動産ディベロッパーによる投資」がその理由です。つまり、典型的な土地バブルが政府主導から民間主導に移ったということです。中国の土地バブルは、ここ2年くらいの間でさかんに取りざたされています。筆者も一昨年、上海に出かけた折、至る所で高層建築物が建設されており、地元の話では、販売されるマンションの価格が1カ月ごとに上昇するなど不動産市況が活況を呈しているとのことでした。それが未だに続いており、しかも、小売売上高の15.5%増の倍近い伸びというのは、高成長を続ける証として中国政府が誇示したいところでしょうが、上海万博が近いとしても、行きすぎ感を感じるのは、筆者だけでしょうか。
サイドメニューに、昨日、JNTO(日本政府観光局)の訪日外客数のリンクを貼っておきましたが、ご存知でしょうか。 「国籍/月別 訪日外客数(総数)」を見ると、確かに中国からの訪日客は、およそ4月10万人、5月6万人、6月3.6万人に対し、第3・四半期の7月は6.8万人、8月は10.9万人(いずれも推計)と大幅に増加しており、第3・四半期の国内総生産は概ね納得できるところです。ちなみに、総数の約半数が観光客となっています。なお、9月の数字は今月末に発表される予定ですので、このような統計も参考にされるとよいでしょう。
他のニュースとして、日経速報ニュースが伝えた、インドタタ自動車の超低価格車「ナノ」で発火事故が起きているとの報が気になりました。ナノは、低所得者向けの世界最安車で、日本円で1台約22万円。これまでの最安車であった、スズキの合弁会社・マルチスズキの小型車の半額以下の価格で、抽選販売となった車です。タタでは、「全車共通の問題でなくリコール(回収・無償修理)はしない」というコメントを出している模様ですが、これまで手付かずであったインドで圧倒的多数を占める低所得者の購買力を吸い上げる役割を果たす車であり(それは、低所得者の希望の星であり、悪い意味ではありません)、来年にはナノでヨーロッパ進出を目指していたタタの世界戦略も見直さざるを得ないことになる可能性も含んでおり、つまりインド経済に打撃を与えるかもしれないという点で、今後も注視していきたいと思います。
米連邦準備制度理事会(FRB)が21日に発表した「地区連銀報告」についてもコメントする予定でしたが、アジア圏の話題で長くなりましたので、また後日にさせていただきます。
本日、21:30に発表された10/18までの週の米新規失業保険申請件数は53.1万件と、予想の51.5万件を上回りました。企業業績の増益基調との綱引きで、この悪材料を今夜のNYがどのように消化していくか注目されます。冒頭にコメントしたように、昨夜の大引け間際の急落で織り込み済みの可能性もあります。原油が再び81ドルに迫ろうかという勢いで騰勢を強めてきていることも、支援材料になるかもしれません。
明日には、重要指標の一つである9月中古住宅販売件数の発表が控えています。今夜のNY次第でもありますが、極端な上プレや下ブレがない限り中立要件だと思います。住宅市況については、このままABXが上昇を続けるのか、腰折れするのかが筆者としては気になるところです。
投資判断は見送り。ノーポジ継続です。