1991年 黒澤監督 81歳の作品
『8月の狂詩曲』
長崎の山村に暮らす おばあちゃん・村瀬幸子
おばあちゃんは 兄弟がいっぱいいて
全員 名前に金偏がつく
特に男の兄弟が多過ぎて 全員覚えていない
そのまったく記憶のない 兄弟の一人から
会いたいというメールが届く
ハワイに住むその兄の元へ
孫たちをおばあちゃん宅へ預け
息子・井川比佐志と娘・根岸季衣が飛ぶ
兄はパイナップル農園を営む
大富豪になっていた
入院中で 死ぬ前に妹に会いたいと
言い出したらしい
メールの主は
日系2世の従兄弟・リチャード・ギア
孫たち4人は
おばあちゃんと暮らす日常を通して
おばあちゃんの被爆体験を知り
原爆について 知ってゆく
おばあちゃん夫婦は
小学校の教師をしていたが
結婚を機におばあちゃんは退職
原爆が落ちた後
おばあちゃんは小学校に駆けつけ
おじいちゃんを探し回るが
どこもかしこも焼けた遺体だらけで
おじいちゃんを特定することが
できなかった
おばあちゃんはその際被爆した…
孫たちは その小学校を訪れる
校庭の角には
グニャグニャに曲がったジャングルジムが
モニュメントとして置いてあった
小学校は避難所でもあり
大勢がここへ集まっていたが
原子爆弾によって 焼け野原と化した
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最初は誘いに応じようとしなかった
おばあちゃんだったが
おじいちゃんの命日が済んだら
行くと言い出す
孫・吉岡秀隆がそれをメールで送るが
入れ違いに おばあちゃんの甥にあたる
リチャード・ギアが来るという電報がきた
8月9日が命日ということは
原爆で死んだということ
ハワイから帰国した息子と娘は
従兄弟がアメリカ人であることに気をつかう
ところが ハワイからやってきた
従兄弟・リチャード・ギアは
原爆について
申し訳なかったと謝罪する
念仏堂に行き
般若心経を唱える 老人たちの祈りに
耳を傾ける
おばあちゃんと心を通わせたり
孫たちと一緒に川遊びしたり
すっかり仲良くなって
ひと夏を楽しく過ごしていたが
父死すの電報が来て
急ぎハワイに戻ってゆく
どんなに記憶を辿っても
思い出すことができなかった兄弟だったが
その死を知って
号泣するおばあちゃん
そしてその後
おばあちゃんの言動がおかしくなる
おばあちゃん宅を去ろうとしていた時
言動のおかしさに気づいた息子は
急遽 予定変更
しばらくまた一緒に暮らすことになった
大雨で 雷が鳴り出すと
雷のピカ!を
原爆のピカ!だと騒ぎ出し
寝ている孫たちに白い敷布を被せ
こうすると被爆しないと騒ぎ立てる
大雨が降りしきる中
おばあちゃんがいなくなった
仲良しのおばあちゃん家にやってきて
また出て行ったという知らせを受け
おばあちゃん探しに
全員で大雨の中を走りだす
坂道の行く手に
傘をさしたおばあちゃんが歩いていく
クライマックス
カメラはおばあちゃんが
大雨に煽られなら
しっかり傘を握って歩く姿を横から映す
ドシャ降りに煽られる傘が
カパッ!と 逆さまになる
そのカパッの瞬間
「野ばら」の曲が鳴り出す
♪
童は見たり
野中のばら
清らに咲けるその色めでつ
あかず眺む
くれない匂う
野中のばら
少しのづれもなく
傘のパカッ!と
エンディング野ばらの鳴り出すのが同時
ここ圧巻!!
ああ…これが黒澤作品なんだと
変なところで 感動してしまった
素晴らしい余韻…
非情な出来事を
やわらかく やさしく
そして悲しく…
描いている
80代に入った黒澤監督の
眼差しが感じられた
リチャード・ギアの出演は
自然な感じ
これ以上の適役いる?
すごく日本好きだし
チベット仏教の信者で
中国の弾圧も批判するので
中国入国禁止受けているらしい
特別扱い拒否し
出演料も安かったとか
映画で使われた念仏堂
気に入って
解体して
アメリカの別荘に移築したとか
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原作 村田喜代子 「鍋の中」(芥川賞)