詩 | ☆ココロの星屑たち☆

☆ココロの星屑たち☆

喜びと悲しみとひとカケラの幸せ。。。AKKOの呟きブログです。
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わたしを束ねないで


わたしをたばねないで
あらせいとうの花のように
白いねぎのように
束ねないでください わたしは稲穂
秋 大地が胸を焦がす
見渡すかぎりの金色こんじきの稲穂

 

わたしをめないで
標本箱の昆虫のように
高原からきた絵葉書のように
止めないでください わたしは羽撃はばた
こやみなく空のひろさをかいさぐっている
目には見えないつばさの音

 

わたしをがないで
日常性に薄められた牛乳のように
ぬるい酒のように
注がないでください わたしは海
夜 とほうもなく満ちてくる
苦いうしお ふちのない水

 

わたしを名付けないで
娘という名 妻という名
重々しい母という名でしつらえた座に
すわりきりにさせないでください わたしは風
りんごの木と
泉のありかを知っている風

 

わたしを区切らないで
コンマピリオドいくつかの段落
そしておしまいに「さようなら」があったりする手紙のようには
こまめにけりをつけないでください わたしは終わりのない文章
川と同じに
はてしなく流れていく ひろがっていく 一行の詩

 

”わたしを束ねないで”を

はじめて読んだのは中学生の頃

学校の授業だったかな?

なにか胸がきゅっと締めつけられるような気持ちになったのを覚えています 

 

特にこの部分

 

わたしを名付けないで
娘という名 妻という名
重々しい母という名でしつらえた座に
すわりきりにさせないでください

 

ずーんと来ます

 

今よりずっと日本人女性が生きづらい時代だったろうなぁ

 

奥行きがあり素晴らしい詩です