結果ページ
SPプロトコル
FSプロトコル
SP
1 Kaori SAKAMOTO JPN 9 75.62 39.78 35.84
ううう、今年も女子はつまみ食いだけになりそう、ともはや思ってしまうなんて。
女子のフィギュアスケーターはレースを着た戦車、という言葉は昔からあります。それをまさに体現している選手...年々その思いは強くなります。去年は太ももが迫ってくるみたいにみえておののいていましたが、今年は上半身もさらにごつくなって、さらにおののいてしまったのですけど、気のせいですか。単に衣装のせいなの?
ジェフリー・バトルの振付で、ベースにバレエをかんじるものです。バトルはリズムにのるものとバレエを思わせるものに大別して考えています。羽生君の振りだと、前者はLet Me Entertain YouとかLet's Go Crazyあたり。バレエっぽいのはバラ1とかOtonalとか。坂本さんにはバレエっぽいほうにいったかな。リズム感は悪い人とも思いませんがとくによくもないというのと、フェミニン路線というのできまったんでしょう。
腕を柔らかく使おうとしているのはわからないでもないです。だけどその動きにたとえばバレエの理論のような裏付けはない。だからなんだかあらっぽいというか神経がいきとどいていません。裏付けがある人ってなにげに動かしても美しいですから。理屈に沿った動きといいますか。そう、バレエの腕って基本、方程式ですけど、すべて理屈に沿ったものです。そのあたりの理屈とか理想は考えずに振付を真似ただけにみえる...
音はちゃんときいてます。リズムはおかしくないし、アクセントはしっかりとらえていますもん。
だけどそれだけですよね。背景にながれるのは別に音楽でなくてもかまわない。メロディとそれに沿ってわきでてくるような情感というかそういうものが、この音楽にはありますでしょ?メトドロームに音の強弱だけつけて流してもいっしょです。そう、一言でいうと情感が足らない。なんにも感じないで点をつみかさねるためにすべっているように見えます。少なくとも自分にうったえてくるものはありません。好みの問題だけかもしれませんが。スピードはあるし、ステップシーケンスなどでのエッジもまずまずつかえているなあと妙に冷静にみてしまいます。ジャンプは重くなりましたね...パワーで押し切ってしまってフローをつけることができる2Aはいいと思うけど、あとは...Lzのエッジは気になります。あいかわらず、迷い子になりそうなのを矯正してこれはどうだ、といっているようにみえる。前は3Loが好きだったんですけど、何年か前から回転が重くなってシュッツパッという感触で回れなくなってますからね。まわりきれないこともあったような。それで3Loで点数とるのをあきらめて基礎点の高い3Lzを単独で飛び続けているんでしょう。真央ちゃんほどこれはだめだ、というかんじではなく、練習はかなりとべているんでしょう。だけどこれぞルッツ、というエッジはほとんどみないです。今回もeにはならないと思うけど、!はつくでしょうねえ...かといってFのエッジがめちゃくちゃディープというかんじもないんだけど... パワフル系が好きならいいのかな。ジャンプの後の2Aのフローはすてきですけどそれ以外はううううん...
なんといっても気が滅入るのは、神戸組の特徴である曲と振付に対する感受性が感じられないというか、研究心がないというか...与えてもらった材料をレシピ通りに片付けてどんと適当にお皿にもってだされたみたいなかんじがする点です。
神戸組、きびしい練習はしているのはわかります。スポーツなら鬼練習でもいいんでしょう。だけどフィギュアってアーティスティックスポーツですけど。大なり小なり「アート」の要素が必要。神戸組ってそれがないのよねえ...ずっと神戸組の坂本さん、三原さんはもちろんのこと、壺井君は印象の薄い子から、何も考えないで要素の成功を追求するだけのスケーターになってしまいました。他の神戸組の選手もそんなかんじ。ここまで同じスタンスだと、そういう指導をうけているということ。
自分の中では昔の日本女子のスタンスですねえ...海外はビット様だのバイウルだの、これぞ氷上のアートという人たちがいたんですけど、日本勢っていまいちにしかみえなかったんです。あ、とんだ、あ、まわった。ふうん、要素が成功したから点はある程度でるんじゃないの、みたいな反応をずっとしてましたっけ。佐藤有香さん、荒川さんあたりはスケーティングが評価されましたが、やはりアートの要素が乏しかったように思います。荒川さんはタラソワがいろいろやらせてましたけど、説得力あったかなあ???まったくといっていいほど関心もてなくて。
日本がかわってきたのは、太田さんや村主さんあたりからです。真央ちゃんはこの流れの人で、ローリーやタラソワが彼女の滑りにあったもの、それを引き上げるような振付をしてくれたということもありますけど... そして気がついたら日本女子のフィギュアもアーティスティックスポーツといえるものになっていました。
自分にとって、神戸組は、アーティスティックスポーツとしてのフィギュアスケートにどっぷりつかって幸せな観戦生活を送っていたところにあらわれた異物なんだというのをつくづく感じたこの演技でした。絶滅していたと思ってたのにそうじゃなくてショックをうけているといいますか。要素をこなすのはたしかに大事、だけどそれだけじゃないが自分のみたいフィギュアなの!
女子をリードしてきたロシアが国際試合からしめだされたときから、いや、正確にいうと、北京のときにワリエワがドーピングでひっかかった時から、神戸組がトップクラスにでてきた、というのは、いろいろ問題はあってもアーティスティックスポーツを追求する存在がいなくなって、エレメンツをきちんとこなして点数をとる存在が浮上したということなんでしょう。
滑りと曲・振付が一致して魅力をかんじたらエレメンツ重視でもいいんです。坂本さんではマトリックスのときにそれがあったかな。だけど、このSPでは、表現の工夫がかんじられないだけでなく、この滑りがあってこそのこの曲表現、というナチュラルな魅力もみえません。要素をこなせれば点数がでて優勝できると神戸組では指導しているのかしら。ええ、そりゃ点数はでます。さらには、平昌以来、TESにひきづられるようにPCSもあからさまにあげるようになってるし。ううううん...SKはだしたければどうぞ、という要素はあります。なんといってもスピード。COは現地でみないとわからないところあるし文句はいいますまい。だけどPRは...評価できるようなものですか。
表現するのは別に「聖母」でなくていいと思うの。肝っ玉母さんの雰囲気ならだせるはず。昔から、将来、関西のおばちゃんになるだろうという雰囲気をかもしだしてましたもん。だけど現時点ではそれもないし、今後もでてくるのかどうか。マトリックスのときにスピードと曲がぴったりあって、面白い面がありましたが、マトリックス路線は女子では評価があがりません。それで従来の女子路線にいったのでしょう。だけど、工夫している様子はないですよねえ...なのに点数だけはねあがっていくっていったいなに。
日本女子がSPの時点で表彰台を独占しているJGPSみたんですが、少なくともみな、アーティスティックスポーツを実践しているように見えます。そう、たしかによく練習しているのがわかる演技でしたが、ミスがないからいいのだ、というものではありませんでした。
首位の島田麻央ちゃんで73.78ですから坂本さんとたいしてかわりません。昨年3位でした。今年は全日本で優勝しませんか。もちろん、シニア勢から優勝者がでるのが理想です。紀平ちゃんが復活すればおそらくは。だけど、今年、シニア勢からそういう存在がでるかなあ。ならば、いつまで3Aや4Tが跳べるのかわかりませんけど、アーティスティックスポーツを見極めようとしているジュニア勢に将来をたくしたいと思ってしまうのでした。
6 Mone CHIBA JPN 2 57.66 28.34 30.32 -1.00
ジャンプをはじめとする要素を着実にこなせなかったことがすべて、でしょう。最初の3Lzは転倒こそなかったものの、着氷で沈み込んでしまいました。当然マイナスですね。2Aも着氷で流すことができずに余計な回転がはいりました。3F3Tのコンボではまず3Fに回転が微妙に足らなかったのをなんとかとんでコンボにしたのまではよかったのですが、回りきれなくて膝をついてしまいました。FCSpとLSpはまずまず。CCoSpは勢いがたらなかったですね。回転数がたらずレベルをとりきれていません。
故障というかんじはしませんから、練習をつめていったらたぶんもう少しあがってくるはず。GPSは10月20日からのスケアメと11月3日からのフランスです。それまでになんとか形にしてほしいものです。スケアメはルナ・ヘンドリックス、ユヨン、クワコワ、レビト、愛菜ちゃん、陽菜ちゃん、フランスはグバノワ、新葉ちゃん、りおんちゃん、イ・ヘイン、レビトですか。表彰台争いにくわわるにはなにがなんでもエレメンツを安定させる必要があります。
しかし、なぜ黒い瞳をシニアデビューに選んだんだろう、なんて思ってしまったのですけど、みなさん、どうですか?あれ、こうきたんだ、つめたらよくなるのかなあ。FSとの対照をねらったんですかね。ミーシャの振付です。少なくともいまのところ、百音ちゃんにぴったり、というかんじはないです。もう少しねばっこさとかだせるようになってくるかしら。出だしはともかく、あとはエレメンツをこなすに四苦八苦している、という印象をうけた演技でした。
FS
1 Kaori SAKAMOTO JPN 14 127.58 56.95 70.63 0.00
うん、前半はまだしも、後半がよくないですね。前半が7割ぐらいのできとしたら、後半は5割ぐらいでしょう。冒頭の2Aはいいジャンプだけど、それだけという感想をいだきました。いろんな意味で重い... 上半身でなんとか表現しようという意図はわかります。それがうったえるものがあるかどうかの問題です。どうだろ。クラシックバレエのベースが根底にあって、なだらかであふれる感受性が必要なSPよりはよいと思います。少なくともなにかをやろうとしているのはわかります。ポイントがわかりやすいんでしょう。だけど、曲の切り替えの意味がさっぱりかわらないし、みなきゃ、って気にはならないですね。へえ、がんばってるんだ、という反応はしました。そのうち、身体の重さがどんどん明らかになってきます。スタミナがきれるんでしょう。それと共にスピードがなくなって、ジャンプもとべなくなってくるという図式。全日本かWCまでみないでいいかな。そのころにはたぶん、まとまってくるはずです。スタミナ切れはなくなるはず。最初から最後まで力推し、というかんじになるかもしれないけど。
6 Mone CHIBA JPN 9 102.59 46.39 58.20 -2.00
FSは鈴木明子ちゃんの振付で、
1900’s Theme by Ennio Morricone
The Legend of the Pianist by Ennio Morricone
Second Crisis by Ennio Morricone
Playing Love by Ennio Morricone
Playing Love (from "The Legend of 1900") by Ennio Morricone
へえ、エンニオ・モリコーネの映画音楽でそろえたのですか。The Legend of 1900は邦題「海の上のピアニスト」ですから、「海の上のピアニスト」でそろえたということなんでしょう。たぶん。主人公が1900ですし。ということはこれもドラマチックな振付ですよね。去年のシンドラーやおととしのエデンの東も鈴木明子ちゃんでしたから、系統はたぶん似ているんでしょう。みんなドラマチックな映画音楽、という共通点があります。明子ちゃんの百音ちゃんに対するイメージがそういうものなのかしら。
青い衣装は海をイメージしているんでしょう。
6分間練習で転倒して身体を打ったとか。
オータムクラシック 千葉百音選手、FSは2回の転倒とジャンプの抜けが1つありました。102.59/160.25
— フィギュアスケートLife (@fskating_Life) September 15, 2023
演技後コメント「身体のキレは昨日よりよかったんですが、6分間練習でお尻を強打してしまって、着氷の時に痛くて。耐えられたジャンプもあったんですが、力が入らないジャンプもありました」 pic.twitter.com/2CdCbPH5an
この言葉通り、ジャンプが不安定です。そうか、力がはいらなかったんだ。冒頭の3F+3Tからしてまわりきれず、転倒になってしまいました。2Aは問題ないけど、3Sもまわれてないです。3F2T2L0もあやしい。Fはこの試合、まわれてないですねえ...と思ったらルッツがパンクしました。転倒した3Lzのほうも回転がたりてないですね。ステップシーケンスはまずまず。この曲のほうがSPよりあうんじゃないかな。曲の色づけをしっかりして、SPは濃く、エキゾチックに、FSはなだらかに美しく、というパフォーマンスをみたいもの。最後のレイバックはきれいでした。
今回のはドラマチックというより、ドラマを秘めた美しい曲が連なるというかんじでしょうか。最初のスターティングポーズをとるところからすてきだなと思って見ました。でだしも特にむずかしいことをしているわけではないですけど、ぼーっとみて真似てしまいました。なんだか惹かれるところがあるから、なんですけど。
次回、スケアメでみるときには、安定したジャンプをみることができますように。