もうご存じかと思いますが、ザギトワが活動休止宣言をだしました。

 

「私はどこにも行かないが、今後の国内選手権、欧州選手権、世界選手権には参加しない。自分を探し、新しいジャンプに挑戦する。それはとてもいいことだと思う」

http://www.iza.ne.jp/kiji/sports/news/191214/spo19121409540001-n1.html?utm_source=yahoo%20news%20feed&utm_medium=referral&utm_campaign=related_link

 

と語っているとか。

 

モチベーションの低下が原因としています

 

「私は今、すでに、すべてを持っている」とした上で、「これまでは常に何かが欠けている感じがしていた。その状態に戻したい」

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191214-00000013-dal-spo

 

チーム内の対立でも、最近の低迷が原因でもないとしています

 

事実上の引退ではないかという意見もあります。先日、GPFで芳しくない成績だったことでザギトワを批判する声を非難したタラソワは。今回の動きは引退とみているような言葉をだしています。

 

「彼女はこれから興味深い創造的な生活を送ると思う。すべての優秀なアスリートがそうであるように、ショーで世界中を旅する。年に1度は彼女に会える」

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191214-00000013-dal-spo

 

「新しいジャンプ」はおそらく4回転でしょう。これがもしも習得できたら帰ってくる、習得できなかったら帰ってこない、ということなのかなと。ただ、ザギトワが「4回転ジャンプは若い年齢で会得する必要がある。五輪の前に学ぶべきだった」と語っているので、本人も復帰の可能性が高いと考えてないのかもしれません。

 

もしも復帰しないとなれば、とても残念です。もともとオリンピックのメダルは引退前の最後の花道のような位置づけでした。だからオリンピックのメダルをとったら即、引退するのに何も疑問を抱かなかったような。

 

ただ、はやい段階でメダルをとり、二連覇をめざす選手はいました。私が直接みただけでも、羽生君だけではなく、カタリーナ・ヴィット、 アイスダンスのパーシャ・グリシュク/フゲニー・プラトフがいます。二連覇ではなかったけど、二度金メダルをとった選手もいます。テサモエとかエカテリーナ・ゴルデーワ/セルゲイ・グリンコフがそう。

 

こういった複数回のオリンピック金メダルをとれる選手って、連覇へのモチベーションがものすごく高いです。金メダルを個人と団体でとったプルシェンコもそうでした。

 

この複数のメダルをとる意欲は、はじめての金メダルをとった年齢にもよるのか?なんて思ったことがあります。みな、ごく若くしてとっていますから、体力的にも二連覇できる余地がありました。

 

ところが、女子の場合はヴィットをのぞいてそうはなっていません。10代で金メダルをとった女子選手と当時の年齢をあげてみると、

 

1994  リレハンメル   オクサナ・バイウル     16歳

1998  長野              タラ・リピンスキー     16歳

2002年ソルトレイクシティ サラ・ヒューズ     17歳

2010 バンクーバー    キム・ヨナ                      19歳

2014 ソチ                         アデリナ・ソトニコワ       17歳

2918 平昌                         アリーナ・ザギトワ           15歳

 

キム・ヨナをのぞいて誰一人、二度目のオリンピックにでていません。

 

それこそモチベーションがわかなかったのが大きな理由でしょう。

 

この中で、メダル候補一番手だったのはバイウルとキム・ヨナぐらいでしょうか。もちろんふたりには他のメダル候補者のライバルがいました。バイウルの場合は銀メダリストになったナンシー・ケリガンでしょうか。アルベールビル銅メダルで今度こそは金、と思っていたはずの選手です。キム・ヨナの場合はいうまでもなく真央ちゃん。

 

でも、二人とも金でぜんぜんおかしくないと思われていた選手でした。バイウルの場合は、孤児で、練習資金をコーチだったズミエフスカヤの娘婿のヴィクトール・ペトレンコがだしてくれていたという事情もあったので、ズミエフスカヤがアメリカにいったのと同時にアメリカに渡ったバイウルがお金ばかりかかるアマより、自立できるプロの道を選んだのかもしれません。このあたりの事情はよくしらないのですけど。

 

キム・ヨナは二連覇してもちっともおかしくない選手でした。二連覇できなかった根本原因は、キム・ヨナがフィギュアスケートを好きじゃなかったから、だと思います。何があったかよくわかりませんが、オーサーとの不可解な決裂事件もありましたし。私にはソチはバンクーバーまでにこしらえた貯金で戦っていたようにみえました。プログラムのせいなのか、前年のWCのほうがすてきにみえました。ロンドンだったかしら。あの時のFSのレ・ミゼラブルは、キム・ヨナ代表作といっていいほどすぐれたプロでしたけど、ソチではあの水準にいきませんでした。いっそ、あのプロをもってきてくれたらいいのに、なんて思ってしまいました。決定的だったのはオーラです。バンクーバーでまばゆいばかりのオーラをまとっていました。あれ、勝つ意欲/生命力があるとオーラがでるし、なければ下がるということなのでしょうか?ソチでは、技術的にはうまいのだけど、オーラはありませんでした。気がすすまないけど、韓国スケ連あたりに懇願されてでたのかもしれません。

 

 

あとは、オリンピックシーズンに破竹の勢いをみせていたザギトワ、前年度WCで金をとっていたタラ・リピンスキーはともかくとして、びっくりする面々でなかったですか?

 

サラ・ヒューズは2001年WC銅が最高の成績です。全米で優勝したことはありません。スケートカナダでミシェル・クワンとイリーナ・スルツカヤを上回って優勝したことあるので、可能性はあったわけですけど、それにしても、うまくオリンピックとピークがあったということなのでしょう。ちなみにこの年の銀はスルスカヤ、銅がクワンです

 

アデリナ・ソトニコワも驚きでしたよね。ジュニア時代はJWC、FGPFと優勝し、ロシア選手権でも優勝して、ソチのメダリスト候補として脚光を浴びていました。プーチンとうつった写真をみたおぼえがあります。が、はやくに体型変化に苦しみました。シニアにあがってからはこれといった演技がなく。。。ピーキングをうまくあわせられた、というのがまず一つ。数ヶ月前のグランプリファイナルでとべてなかったようなジャンプを跳んでましたので。でもそれ以上の要因は、(1)メダル候補だった真央ちゃんがSPでうまくいかず、早々に優勝の芽がなくなったこと、(2)キムヨナがバンクーバーほどでなかったこと、(3)ユリア・リプニツカヤが団体戦で疲弊してしまったこと。この3つじゃないかと思います。

 

オリンピックチャンピオンが継続となると、圧倒的に勝つことが求められがちです。そしてこの二人はそれにこたえるほどの圧倒的な実力がなかった、というのが真相ではないかと。ソトニコワの場合はケガにも苦しみましたが...そしてその圧倒的な力をつけるための練習のモチベをもつのがやはり難しかったのでしょう。

 

 

タラ・リピンスキーとザギトワについては、ジャンプのピーク年齢(15歳最強説、ですね)にまさにあてはまってメダルをとったのではないかと思います。

 

 

たしかに、1997WCでタラちゃん(うちではこうよんでいました)は金をとってますけど、大本命はなんといっても、1996年WC金、1997WC銀のミシェル・クワンだったのじゃないかと。リレハンメル以降は、女子にまったく興味をしめしてなかったころでして、勘違いしているかもしれませんが

 

でも、リピンスキーには3-3のコンボという大きな武器があったのです。3Lo3Loのコンボをとんで勝ってしまったようにみえました。今からみればあの3LoはURにみえますが...

 

15~16歳のジャンプの得意な選手が勝つという形がこのときにできてしまったのかもしれません。タラちゃんがジャンプして勝ってしまったよ、とうちで驚きあきれ果てていた覚えがあります。みどりさんもジャンプでWCかったり、オリンピック銀メダルとったりしましたが、リピンスキーの場合は、子供が飛んでるようにしかみえず、保てる気がしませんでした。そして、この直後のWCに体調不良で欠場し、アマチュア競技会から引退してしまいました。家族との時間を大切にしたい、というコメントを出してたはずです。で、プロに転向したのですが、年齢的にジャンプがむずかしい時期にきて飛べなくなったようです。プロもはやめに引退してしまいました。でも、スケートはきらいじゃないのでしょう。見る目はなかなかあるなあと。ジョニーとのコンビの解説は大好きです。エンタテでありながらきちんと見るところは見てくれていて。判をおしたようなコメントなど一つもありません。

 

女子がジャンプを飛べる時期をうまくいかしてメダルとった選手、そしてそれが終わった後、滑ることをやめてしまった選手の走りがこのリピンスキーかなあと。

 

ザギトワはこのリピンスキーのパターンなんでしょう。ちょうどジャンプの全盛期にオリンピックに出場できました。これって運の問題もありますよね。ジャンパーの場合、オリンピックで15~16歳が一番有利なんじゃないか、という面があります。実際、16か17でとべなくなる女子はものすごく多いです。この考えに則って、今の3強よりジュニア1年目のワリエワのほうが北京に有利だろうと予想しているわけですが... また、ダイエットでなんとかジャンプを飛べる状態にしていても、疲労骨折がでるとかいうパターンもあります。ちなみに日本女子はちょっとパターンがちがいまして、16か17はのりきっても、20前後でとべなくなる(正確にはURがでるようになる)パターンもみうけられます。ロシアやアメリカより影響がゆるやかにくるのかもしれません。

 

ザギトワは身長がのびて、オリンピックのあとのWCで苦労していましたので、そのときに限界をかんじたのかもしれないです。

 

エテリがとめたというのもすごくわかる。子供コーチと揶揄されるのなど心外でしょうから。ただやっていることは、子供の身体を最大限にいかして高難度をやらせて、15か16をピークに成績が低下していくようなジャンプにみえますけど...

 

もう一つザギトワの場合、3Lz+3Loをはじめとするジャンプを安定してとぶこと、つめつめのTRによって、実際には問題が多いSSをひきあげ、本来なら落とすべきいびつなプログラムのCOに点をやってしまった、というジャッジにも大いに問題があったと思うのです。

 

ザギトワのSSは昨年からすばらしくのびましたよね?オリンピックのときは8点前半にみえ、なぜこれに9点台、と思っていたのですが、去年くらいから、これなら9点でるんでしょ、少なくともその前後にはくるのだろう、というふうにみえます。0.5ぐらいあがったと思うんです。でも、オリンピックのときにFSに9.32もつけてしまいました。今季のGPSはジャンプにミスがあったから、という理由でしょうけど、FSは9.07が2戦続いています。ファイナルはミスが多かったので8.64。先シーズン優勝したWCでも9.11。私はザギトワのスケーティングを最上級にはあげませんが、それでもザギトワのスケーティングはオリンピックイヤーにくらべてずいぶんよくなったと思うんです。なのにジャンプだけでSSを決めるっていったい...

 

そしてCO。あの後半ジャンプでかためたいびつなプログラムにジャッジは9.29もつけました。後半ジャンプ制限ができたおかげで、プログラムのジャンプは偏りがなくなりましたよね?プロとしてはすっきりと均衡したものになりました。だからジャッジもあげてます。前回のWCで9.39。当然です!でも今年はURがでてるからでしょう。9.21、9.32、8.75という数字がGPSとファイナルでならんでいます。これって、なんでしょう。ブライアン・オーサーのいうとおり、いびつなプロに7.5とかつけておけば、エテリ組はジャンプを前半にもっていったでしょう。そうなればTESのリードは縮まったはずです。

 

SS、COで点数をはずんでザギトワに金をプレゼントし、そのことで向上するモチベを奪ったのじゃないの、という気がしてなりません。たとえばジャンプにミスがでるようになっても、SSがオリンピックイヤーよりあがっていたら、それはモチベになったのじゃないの、なんて気もする...

 

こんなことを考えるとますますやりきれないものがあります。たぶん、3Aか4回転を成功させるでもないかぎりザギトワの復活はないのじゃないかと思うんです。

 

男子って、人によりますが、よくなってくるのは10代の後半ですよね?ちょっと前は20ぐらいかと思ってたんですけど、早熟な選手が多くなって、17~18歳ぐらいでトップにいることもでてきました。

 

でもかなり早くなったといったって、女子のように15歳でオリンピックで金メダルなんていませんし、WCで優勝した選手もいません。ちゃんとしらべてないけど、18のネイサンの金が男子としては最年少じゃないかと。

 

でも女子は16か17で引退なのですか?何かがおかしい、おかしいと思ってます。

 

ザギトワに話をもどすと、芸術プログラムができればもどってきやすいかと思うんです。オリンピックのころと表現はくらべものにならないほどあがっています。技術プログラムでは遅れをとっても芸術プログラムで表彰台って十分にありえるかと。ジュニアあがりの15~16歳の選手なら、ジャンプは得意かもしれません。でも、コストルナヤなみのスケーティングと表現力をもつ選手などごくまれです。10年に一人レベルじゃないかな。相対的に10代後半から20代の選手が強いはず。実際、ジャンプ以外のところはみていて面白いし。うまくいけば、総合でも、お子様たちを退ける選手が増えるでしょう。きちん3回転を飛ぶ必要あるでしょうけど。そうなれば、なんちゃって4回転で勝ってしまうという、あんまり楽しくない事態ばかりみなくてすむにちがいない、なんて思ったりします。

 

私の夢の一つは、すぐれたステップを含むスケーティング、目をみはるようなスピンでジャンプを上回って勝つ選手がみたいというもので、これまでは絶対不可能でした。でも、芸術プロと技術プロにわかれ、総合を競うことでこれがみられる可能性がでてきます。

 

ただ、ジャンプでSSなどなどをはねあげる馬鹿なことをジャッジはつづけてるでしょ?こんなので芸術プロなどつくれば、どうなることやら。抗議があいつぐに決まっています。私、も出来レースかとぶつぶついいそう。だから芸術プロができるのは楽しみではあるし、不安でもあります。

 

長々と書きましたが、以上、ザギトワ休止宣言をみた感想でした。

 

コメントのお返事まってくださいまし。明日になるかもしれません。せっかく書いていただいたのに、おゆるしくださいm(_ _)m