インスタにSPの練習動画があがっています。

 

https://www.instagram.com/p/B1M7xeLgaTv/

 

 

SPは昨年から持ち越しです。シェイ=リーン振付のセブン・ネーション・アーミー

 

すべりはなかなかです。昨年も、すべりはよくなった、と思ったのですが、今年はさらによくなったようにみえます。きれがすばらしい。濱田先生とか、織田君とかが天才肌、といっていたのはまさにこの滑りの威力でしょう。氷のタッチがいいというか、親和性がとても高くて無理なく楽々とイメージ通りうごけるのでしょう。体の動かし方もすてきです。

 

あと、表現が熟してきているものと思われます。濱田組にいたころはだらっとメロディ取りする選手で、流れるのはいいけど閉まりがないかもしれない、と思っていました。あと表現は、時として自己満足で終わっていたような気がします。うまく伝えられるかどうかより、やっている自分に満足していたというか。

 

このあたりは昨年、大きく改善されたと思います。

 

問題はジャンプ、スピンといったエレメンツ。もともと脚力が弱くて、浮かび上がれないタイプでした。ジュニア時代でも年々低くなってきているようにみえたのに、背が伸びたことでますます苦しくなったのでしょう。ちょうど体型の変化でとべなくなる年代にあたったというのもあるし。

 

私がこれまでみたかぎり、この体型変化で跳べなくなる、という大波に襲われなかったのはただ二人だけです。

 

筋力で荒波をぶっとばしてしまった伊藤みどりさん。そしてスピードコントロールとシニアの体にふさわしい踏切を含むジャンプコントロール、優れた長期戦略でバンクーバーで圧勝できたキムヨナ。ソチの銀はバンクーバーまでに培った貯金が大きかったのじゃないか、なんて思ってます。バンクーバーが10であれば、ソチは7か8にみえました。もしキムヨナがスケートが大好きであったら、クリケに留まってオリンピック二連覇、いえ、もしかして三連覇したのじゃないかしら。

 

ツルスカヤがもしかして3人目になるのでは、と期待していましたが、病気がそれを阻みました。惜しんでも惜しみきれません。あんな高い美しいディレイドの3Lz+3T、二度とみることなどあるのかしら。

 

紀平ちゃんが3人目になる可能性はあります。シニア跳びがしっかりできる選手です。ジャンプコントロールという意味で、キムヨナにかなり近いです。あとはスピードのコントロールの精度があがればより安定して、質もあげるんじゃないかしら。3Aが跳べるというだけでキムヨナを上回っている面ありますし。北京のころぐらいに疲労骨折おこさないか、というおそれもありますが、うまくいくことを祈っています。そうなれば、理想的な女子育成モデルができるかもしれません。

 

あと、新葉ちゃんがジャンプの型をしっかりみにつけてくれてたらそうなった可能性はあるとおもってます。なにせみどりさんを連想した唯一の選手です。残念ながら、ジャンプがあまりにも安定していません。資質だけでとべてしまって、つめきれなかったところに故障がでて、悪化していったとしか..あれだけの資質をいかせてないなんて。..

 

あとは大なり小なり。何らかの影響をうけます。

 

ロシア女子はほぼ全員、16歳ぐらいに要注意という時期がおとずれます。例外はメドベかな。ものすごく体をしぼることでなんとかしていました。カナダに移って良かった理由に健康になった、といってました。そうでしょうねえ... 

 

それに対して日本人女子は個人差が大きいです。1. 13歳ぐらい、2. 16歳ぐらい、3. 19~20歳と3つに大きくわかれるんじゃないかしら。2が多いのはたしかです。幅ができてくるにしたがって、回転速度がにぶって回転不足におそわれる、というのがこのパターンです。全然とべなくなる、ということは日本女子の場合少ないかも。でも2の危険域を抜けたからといって3がくることがありますからまったく油断はできますまい。3のパターンだと疲労骨折やらと一緒になりますので、ある意味一番こわいかもしれません。

 

1だとシングル選手としてやっていくのは日本ではきわめてむずかしいように思います。今や、グランプリより全日本のほうがよほどかレベルが高いですから。岩野桃亜ちゃんがこれかなあ、と思ってます。このパターンで再浮上した人は浮かばないのですが、自分が知らないだけかもしれません。連盟は桃亜ちゃん買っているのか、この二年苦労していても強化にえらんでますけど、この状況を抜けてトップグループに来る日はあるのでしょうか。表現力のある人なので、

 

3は典型的なのは、知子ちゃん、理華ちゃんでしょうか。大庭雅ちゃんはケガしてないはずですが、たぶん3。高校生ぐらいで跳んでいたジャンプが跳べなくなって苦労しているような気がします。実にいい雰囲気をかもしだせるようになったので、見るのは楽しみなのですけど。佳菜子ちゃんは徐々に回転あやしくなってましたが、一気に問題がふきでたのがソチ後のシーズン。20ですか。あれは全日本できびしい判定がでて、精神的なダメージを負ってしまったのが大きいような気もしますが...

 

あとは真央ちゃん、美姫ちゃんを含め、2なんでしょう。一番底をむかえるのがいつかは個人差ありますけど...16で迎える場合もあれば18か19もあるし... 底になると大いに苦労します。でも、再浮上する可能性もあるグループではあるのです。

 

美姫ちゃんがそれかな。真央ちゃんは、滑りの面では佐藤先生のところにいって大正解でしたが、ジャンプはちがったかもしれない、なんて思ってます。佐藤先生が理想とするジャンプは女子には負担が大きすぎますのでね..引退の直接のきっかけとなった膝は佐藤先生のところの跳び方を実行しようと努力したのが根本原因ではないか。、というご指摘をコメント欄でいただいてます。そうかもしれません。

 

私のつきせぬ夢想は、真央ちゃんのお母様がお元気で、ずっとアルトゥニアンのところにいることができたら、キムヨナに対抗できるジャンプ技術/安定性を身につけられたのじゃないかということなんです。タラソワは技術を教えられる人ではなかったので。そして真央ちゃんには尽きせぬスケートへの愛情があり、努力をおしみませんでした。指導がちがえばおそらく結果はちがってきたでしょう。3Aに固執して、回転不足はやはりでたにしても、セカンドは回転不足の3Loのかわりに3Tを安定して跳べるようになったかもしれないし、3Lzがもう少しはやくなんとかなったかもしれません。少なくともオリンピックシーズンにジャンプで苦労することも、その後、大低迷の数年をすごすこともなかったのじゃないかしら。平昌もいけていたかも。成績をもっとあげられていたのじゃないかしら。

 

まあ、でも、佐藤先生のところにいったからこその、あのスケーティングですから...カロリーナはともかくとして、あれだけのスケーティングをした女子って他にいたかしら。プラマイゼロということにしますか。

 

今も、この2のグループになってしまって苦労している選手はたくさんいます。とはいえ、白岩優奈ちゃん、青木祐奈ちゃんが今シーズン、抜けるのじゃないか、という気がしないでもありません。もし抜けることができたら、期待していいんじゃないでしょうか。優奈ちゃんは抜けるとしたら3Aが伴われる可能性は高いです。もし細田采花ちゃんみたいな3A跳んだら、北京の有力候補に躍りでるかも知れません。

 

そして真凜ちゃん。彼女も明らかに2です。去年はとくにジャンプに苦しみました。ほとんどのジャンプが回転不足ついてたような記憶があります。そして、もともとスピンも得意ではない。あと、1つ失敗したら、引きずってしまうのかもしれません。切り替えてやれるタイプだと強いのですが、JWCでノー-ミスで優勝というのが後をひいているのかも...あの年、向かうところ敵なしだったツルスカヤが直前のケガで棄権したのですが、ツルスカヤがケガせずに出場し、真凜ちゃんは2位だった、というのが本当はよかったような気がします。優勝したことでマスコミが変にもちあげてしまったことで本当は必要だった長期的な視点にたった練習をやるモチベーションが大きくそこなわれたのじゃないかしら。

 

今年、どうなるのかはわかりません。アイスショーみたかぎりでは、昨年のアイスショーぐらいのジャンプにみえました。調子があがっていけばチャレンジャーやGPSで跳んで大復活する可能性はもちろんあります。でも、今年は半分は日本で練習しているようです。下の記事を読むと、本田さんがジャンプコーチについていて、わかりやすい、というコメント残していますが、この時点で出場予定だったげんさんは結局でませんでしたし....

 

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190715-00000100-dal-spo

 

ジャンプの問題がでたころにコーチかわってジャンプをやりなおした場合、成果でるまで2年かかるように思いますけど。真央ちゃん思い出すといいのでは。メドベが全部やりなおして、1年目の最後で成果をだした、というのははやい例なんでしょう。でもその前までどうなるか、と思いましたよね。それを考えたら真凜ちゃんが昨シーズン苦労したのは当然なんでしょう。成果が出るまで辛抱しきれてないだけじゃないかという気がしないでもない...大丈夫なのかなあ。

 

結局試合になるとどうなるかは、もう少し後まで待つしかありますまい。跳べるかも知れませんし。跳べないままかもしれません。

 

また、あくまで今の時点の予想ですが、

 

ジャンプが復活しても、すごく強い選手になる、とみなすのはむずかしいように思います。まずジャンプ構成が決して強いとはいえません。今シーズンは3Aと4回転のない選手がトップにいくのはきわめてむずかしいかもしれません。シニア参戦組が4回転とびそうですし、紀平ちゃんも少なくとも3Aを去年なみの確率で跳びそうだし。確率は低いかもしれませんが、メドベが4S跳ぶのもあるかもしれないし、3Aに挑む選手はたくさんいます。そのうち誰かが成功させるかもしれません。

 

3Aは挑戦させないとアルトゥニアンはいいきっています。であればイメージしやすいのは、キムウンスかマライアの去年の成績でしょうか。平昌前のメドベの成績はのぞめますまいよ。

 

滑りは同門の二人よりよい評価はでるかもしれませんが、最上級とみなされるのはむずかしいのじゃないかしら... コストルナヤがきわめて順調にいけば9点台にのってくるんじゃないかと予想していますが、真凜ちゃんがあの滑りをうわまわれるかどうかは微妙に思えます。カロリーナがいないとして、うわまわりそうな地力があるのは、メドベ、知子ちゃん、うまくいけば紀平ちゃん、もしかしたらザギトワ(ジャンプの成功が必須ですが。今シーズンは苦労しそうだけど...)、復活すれば、新葉ちゃんとみています。WCでNo.1の評価をうけた坂本さんのSS評価は落ちるんじゃないかしら。ISUのレフェリー向けのSS研修であげられたよくあるミスって、実は今年のWCの反省にたってできたものじゃないかと思うんですが、してはいけないミスに

なんてわざわざいってます。あれ、該当するのは明らかに坂本さん。「だけ」がミソです。緩急、エフォートレスなかんじがでれば、評価はでるはずです。でも、げんさんみたかぎり、そのどちらもないように思いました。今後は3A跳ぼうと、さらにぶっとばすんじゃないかな。あのプロならそれがあうといえばあいますけど... げんさんのプロトコルみてないですが、昨年の得点とくらべて考えるとFSで8前後の評価だったのでしょう。上の注意がでているところに、他の要素をのばさず、さらに力押しでスピードあげるスケーティングにあえて点をだすものでしょうか?3Aが成功すればそれでもいいかもしれませんが...

 

もっとも、この論は単に私の好みをならべているだけかもしれません。さて、この予想、どこまであたるものやら。

 

真凜ちゃんに話をもどすと、上にあがるには、少なくとも、ものすごくジャンプを安定させる必要があります。そしてPCSが9点台にのるように努力をし続けないといけないでしょう。ジャンプが成功すればPCSは8点台半ばぐらいにのる可能性はありますが、いきなり9点台はないでしょうから。質の高い3Fをとんでいたケイトリンで9点にのせるのに2年かかっているのです。ジュニアのころのジャンプ考えれば、真凜ちゃんのジャンプがケイトリンを上回ることはありますまい。ケイトリンのSSのほうが上にみえますけど、二人のSSが実質、同じの力だったとしても、真凜ちゃんはもっと時間がかかるかもしれません。

 

PCSを9点台にのせられたとき、はじめて北京の道がみえてくるんじゃないでしょうか。そうなるのはオリンピックイヤーでもいいと思いますが、2年はかかると考えたら、今年か来年あたりから、安定の印象をつけておく必要があるのじゃないかしら。

 

まずはジャンプ安定、できればGPSで表彰台、そして全日本FSで最終グループが目標でしょうね。できるでしょうか。