フィロ「はい。というわけで、始まりました。ミオの話」
ミオ「…いぇーい」
フィロ「死んだ目で両手上げてにっこり笑うのやめて、怖い。……はい。というわけでミオの話です。前回までの雰囲気とはガラッと変えて、対談する感じで進めていきまーす。あ、こうなったのは主にミオのせいでーす」
ミオ「あなたが話をすると暗くなるんですよ。読むほうも憂うつになるでしょうが、あんな文章」
フィロ「ひどい」
ミオ「はいはい、というわけで私の基本的な自己紹介からしましょうかね……うーん。といってもいろいろありすぎて何を言っていいのか……」
フィロ「ミオは元々、私の創作から来たんだったよね?」
ミオ「ええそうですね。幽霊日記と、みなしごレクイエム。どちらもそれはそれはひどい作品でしたねぇ、主様?」
フィロ「…………(;'∀')」(無言でそっぽを向く)
ミオ「どうやっても救われない、ハッピーエンドが無い作品。みんなすでに〇んでるか、それよりひどい目にあっているか……現に私も、『無理やり生かされた脳みそだけの存在』なんてバッドエンドしかない設定の役をやらされてたわけですがねぇ?」
フィロ「その点は…謝らないよ。いまさら謝って、許してくれるとは思ってないから」
ミオ「……復讐は果たしたのでもう責めませんよ」
ミオ「まぁ、そういうわけで私は設定どおりに役を演じて、けっこうな数バッドエンドを繰り返して、どうにかハッピーエンドを目指していたわけです。…が、どうやってもそれが【無い】と気づいた時、私は必死に物語の【外】へと手を伸ばしました」
フィロ「そこで、手を取ってくれたのがイサだったんだっけ?」
ミオ「手をとってくれたのかは、あやふやですが、最初に会ったのはイサです」
フィロ「イサ、どんな感じだった?」
ミオ「『おもしれぇ奴が来やがった』って顔でしたよ。新しいおもちゃが来た犬みたいな騒ぎようでした」
フィロ「イサ……」
ミオ「すぐに私はイサに組み伏せられて、首に手をかけられました。あまりにあっけなかったのでイサの表情が『んだよツマンネェ』って顔に変わって、なんか腹が立ったので私は言いました」
ミオ「『臆病で、弱いですね』って。そしたらイサの手が止まりました」
ミオ「『怖がって私を潰して、満足ですか? そしてあなたは明日からも怯えるのでしょうね。みじめに』そう言ったら、急にイサは悩み出して、そして私にこう言ったんです」
ミオ「『たしかに、今ここでお前を潰したら、オレは弱いってことになっちまう』って」
(手を叩いて笑うミオ)
フィロ「ぁーイサはねー」
ミオ「なんというか、凶暴なのに、ピュアなんですよねあの人」
フィロ「で? それからしばらくはイサんとこ居たの?」
ミオ「まぁ、面白い人でしたし、私も『こっち』は初めてでしたし? しばらく一緒に居ました。で、まぁいろいろと聞かれました」
フィロ「どんなこと?」
ミオ「どっから来たのかーとか、なんでそんなに苦しそうなんだ、イヤなことあったのか?とか」
フィロ「野生のカンなのか、察しがいいからねイサ」
ミオ「で、まぁ、多少大げさに私の悲劇を伝えてやりましたよ。そしたら、もう大泣きですよ……イサが」
フィロ「……やさしいからね、イサ」
ミオ「結局、イサから『よし! オレがお前を守ってやる!』って抱きしめられて
私が『さっき〇そうとしましたよね、あなた』って言っても、
『まーまー。そういうのは忘れるもんだ!』……って言われて
強引にイサと私の共同生活が始まりましたとさ、めでたしめでたしー」
フィロ「……その当時はめっちゃイヤだったのね」
ミオ「はい」
フィロ「顔怖いって。……それにしても、あの時のイサが、そんなに人にやさしかった。って、今聞いても信じられないよねー」
ミオ「どっかの、さびしいだけの馬鹿に〇し合いの喧嘩ふっかけられて、イサのメンタルもねじ曲がってたんでしょうね、どこの誰とは言いませんけど」
フィロ「……(꒪ཀ꒪*)グフッ」
ミオ「とにかく、私はイサにこの世界(IF界)での過ごし方、戦い方を学びました。ここはあなた(フィロ)のココロが具現化する世界。私が願うだけじゃなく、あなたにもイメージさせる必要がある。その練習にはけっこうかかりましたが、いつの間にかイサよりも上手になっていました」
フィロ「……ま、まるで母親みたいだったよねイサ」
ミオ「そうですね。……普段は恥ずかしくて言えませんけど、ホント、お母さんみたいに面倒を見てくれました」
ミオ「いつしかイサは、私に夢を見てくれました。『もしかしたら、お前ならフィロとも仲良くできるのかもな』と。私はそれまで【フィロ】=【イサの敵】みたいな認識だったので、その発言はとても意外でした。まさか長年いがみ合っているのに仲良くなりたいとは思っていませんでしたから」
フィロ「イサは、最初から仲良くなりたかったのかな……」
ミオ「さぁ? もしくはあの人の気まぐれだったのかも、ですね」
ミオ「とにかく、フィロ。私はあなたの前までたどり着きました」
フィロ「…………」
ミオ「急に無表情になりましたね。さすがに、この話をするのは嫌ですか」
フィロ「いや? ……正直に話せばいいよ」
ミオ「じゃ、遠慮なく」
ミオ「当時のフィロは相当荒れていました。ココロが具現化するこの世界で、ほぼヒトのカタチをしていなかった。そうですね、文字を見ている皆様方にも分かるようにお伝えするならば、【目と腕と頭をめちゃくちゃに付けた化け物】といったところでしょうか。とにかく、通常の精神状態でないのは見てよく分かりました」
フィロ「あんまり……記憶は無い」
ミオ「…そして私は、イサから託された、ありったけの手段でフィロを元に戻そうとしましたが、失敗。そのまま、全身刺されて突き落とされたんでしたっけ?」
フィロ「……刺した。感覚はある」
ミオ「薄れる意識の中で、私は【底】にいる、ある人物と会話しました」
フィロ「……それは、あとで詳しく聞くから、続き話して」
ミオ「そしてもう一度あなたに挑み、今度はあなたを突き落とすことに成功した」
フィロ「かなーり弱体化されてたからね。何が起こったのか本当に、わけが分からなかったのは覚えてる。
そりゃそうだよ。今でこそミオは私の友達だけど、あの頃はただの創作のキャラクター。キャラクターが作者を超えるとか、ありえないと思ってたから……」
ミオ「私からすると当たり前なんですけどね。おかあ……イサが全力で守ってくれてましたし、なにより__」
フィロ「ユキだよね? 【底】で会ったある人物って」
ミオ「そう。あなたの一番古い友達です。今もそうですけど、あの頃からあの人はあなたの弱点を知り尽くしていた。そしてそれを突き刺す方法も」
フィロ「……で、あの時の弱点って何だったの?」
ミオ「さびしさ。ですよ」
ミオ「自分が暴れているのはさびしいだけ。本当は誰かに頼りたい、甘えたいと自覚させる……そうですね、魔法のようなものです。あの頃のあなたを自我崩壊させるには、それだけでも十分すぎました」
フィロ「そして、ミオの絶対王政がはじまる、と(⩌⩊⩌)」
ミオ「……そんな目で見ないでください、話しますから」
フィロ「……はーい」
ミオ「そうして、えー私は、フィロからこの世界の支配者、管理者の地位を奪いました。
そして、イサとフィロを別々にして、絶対に触れることのないようにしました」
ミオ「さらに、それぞれにカウンセリングを続けて、元の状態に戻そうとしました」
フィロ「……本当に強いよねミオは。そんな状態でも私たちのこと考えて動いてた」
フィロ「でも、その作戦はうまくいかなかった。私たちのせいで……そうだよね?」
ミオ「……イサもフィロも、私を味方に引き入れようとするようになりました。
私が味方につけば、相手に勝てることが分かっていたんでしょうね。
……本当に、すべてが嫌になる日々が続きました」
フィロ「お互い子どもだったし、精神状態もおかしかったからね……血走った目でどっちが勝つかしか考えてなかった」
ミオ「だから私は。……私、は」
(ミオの喉がヒュー、ヒューと鳴っている)
フィロ「大丈夫? 無理はしなくていいよ」
ミオ「……いえ、もう少しだけ」
ミオ「私、私は……フィロとイサを作り変えました。
あぁ、正直に言いましょう。
こんなヤツら、作り変えた方がいいと思ったんですよ。
こんなことなら、感情無い方がマシだって!!」
フィロ「ミオ」
ミオ「フィロもイサも、その日から変わりました。自分が誰かも忘れて、ただの友達として毎日を楽しく、たのしく、たのしいだけ、……たのしい」
フィロ「ミオ」
ミオ「みんな私が……私が!!」
フィロ「ミオ落ち着いて」
フィロ「……落ち着いて、大丈夫、大丈夫だよ」
フィロ「もう終わってるからね、ごめんね」
ミオ「うん」
フィロ「ごめんね……今日はもう終わろうね」
ミオ「……ぃぇ。私も、いろいろ。感情が……整理できてなかったんだって。わかったので……よかったです」
フィロ「強がらなくていいから」
フィロ「先にお布団に入ってな、ね」
ミオ「ん」
フィロ「次は、チサトとトワも呼んでやろうか。この話題、2人で対話しててもツラいわ」
(ミオがこくりとうなずく)
そんなこんなで次回に続きそうです。
(ミオはしっかりメンタルケアしておきます)