入ってくる情報量とイライラは比例する



 新聞、雑誌、テレビに加えて、携帯メールやインターネットの情報共有サイトなど、現代人はとにかく忙しいものです。



 これらのものは人生をより豊かにしてくれますが、情報で頭がいっぱいになって消化不良を起こしている人もたくさんいます。

 脳はつねに「足し算」しかできないということは、科学的に証明されています。



 コンピューターには、入って来た情報を削除することはできますが、生身の人間にはできないのです。



 「もっともっと」を基本とする人間は際限なくそれを求めます。いい情報も増えれば、悪い情報も増えます。イライラする情報は忘れようとしても記憶として心の中に蓄積されます。これを仏教では、業とかカルマなどと呼びます。

「もの思わざるは仏の稽古なり」

 江戸時代の僧侶・至道無難〈しどうむなん〉禅師の言葉です。何も考えないことが、どうして修行になるのでしょう。

 人間は、過去の悪い記憶、イライラした記憶に支配されているのです。



 私たちはよく友人のことを「あいつは嘘つきだ」とか「あいつはお調子者だ」などというレッテルを貼ります。レッテルを貼ると、判断がしやすくなるからです。



 しかし、その情報に左右されると、いま目の前にいる生身の人のありのままの姿が見えなくなってしまいます。

 情報の詰め込みすぎは、まさに「イライラ貯金」を増やしているようなものです。



 仏教はとにかく何もかも手放すことを勧めます。手放すことで、過去から自由になり、いまの自分を楽しむことができるのです。 



 携帯を持たずに散歩する、いつもの倍の時間をかけて食事や入浴をする、ネットをみない時間を一日一時間つくるなど、脳のダイエットをしてみてはいかがでしょうか。