今年もどうぞよろしくお願いいたします。
今年から「がんばらない」ススメの本の内容を何回かに分けてお話させていただきます。
本には載っていない削った部分までを含みます。
〇生きづらい世の中です。何かに救いを求めたい。
そう考えて、宗教書や自己啓発書などに手を伸ばす人もいるでしょう。
私のような僧侶のもとに相談にいらっしゃる方も、年々増える一方です。僧侶である私が言うのも変な話ですが、果たしてそれで救われるのでしょうか。
多くの本や僧侶の話では、人の煩悩こそが悩みや怒り、悲しみの元凶だといいます。そのため、煩悩をすっかり捨てて生きる道を説きます。そんな話を聞いても、ますます自分がだめな人に思え、落ち込むだけではありませんか?
そもそも人には百八の煩悩があると言います。煩悩とはいわゆる欲望のことです。しかし、私たちがこの煩悩を切り捨てることはなかなかできません。
「あたたかい布団でぐっすり眠りたい」「おいしい食事を存分に楽しみたい」「大好きな人とずっと一緒にいたい」など、日常にあるささやかな望みもすべて煩悩と言えます。
それを打ち消し、生きていくことはとても苦しいものです。なぜなら毎日の生活の中に、小さな喜びがあるからこそ人は元気になり、さらに人として成長していくことができるのです。
煩悩を全面的に悪者扱いし、自分を否定することは、心にも身体にもよくありません。ありのままの自分に向き合い、弱点や嫌な部分をもっと正当化すればいいのです。
私は、天台宗の寺院妙乗院の住職として、多くの人からの相談を受けています。誰もが気軽に立ち寄り、人生の一休みができる寺を目指しています。
本書では、楽しく煩悩とつきあいながら、自分をだいじに、頑張らずに、楽に生きるための方法を紹介します。煩悩にたてつかない、あらがわない。気ままにあるがままの自分を追求すれば、悩みや不安はなくなるのです。
生きることがつらくなったら、肩の力を抜いて、まずひと呼吸、そして笑顔。
「がんばらない」生き方が、不安や悩みをすべて解決するのです。
私の寺を訪れるみなさんは、まじめに人生に取り組み、自分がしたいことも我慢して、悩みを誰にも打ち明けられずに、疲れ果てた状態で、私の話を聞きにいらっしゃいます。
日々のイライラや焦りから、生き急いでしまうみなさんに、私はあえて、「人生の足ぶみ」をすることを勧めます。
まず、肩の力を抜いて、とりあえずひと呼吸。それだけでみなさんの顔色は変わってきます。それから、がんばりすぎている生活を聞き取り、どこで力を抜くかをアドバイスします。
みなさんは少々、がんばりすぎてきませんでしたか。
がんばりすぎると、呼吸は荒くなり、視野が狭まり、暗い考えに引き寄せられるようになります。
本書では、私の指導する滝行や座禅瞑想などのプチ修行のノウハウをもとに、さまざまな人生の局面で、どうしたら息を抜いて、のびのびと暮らせるかについてご紹介いたします。
この本がきっかけとなり、一人でも多くの方が、がんばりすぎずに、自分らしく生きられるようになれば幸いです。