吐血5日目(亡くなる2日前)



もう意識も朦朧としてる感じだったが、水道の蛇口の前に行きたがったので、抱っこで蛇口の前まで連れていった。



もちろん水は飲まなかったけど、口をぺちょぺちょするので、ガーゼに水を含ませて口を拭いてあげた。



ガーゼには、拭いても拭いても、赤黒い血餅がついた。



そして家族で相談し、この日から点滴することをやめた。



もうしゃもじの体重は3.1キロになってしまった。



一日2回に分けて60mlずつ(一日100ml以上)点滴していたけど、もう皮が固くなって、内出血もしていて、針が入っていかなくなっていた。



吐血してからのしゃもじは、もう針を刺してもなんの抵抗もせずじっとして、意識も朦朧としていた。



主人も私も、これ以上はしゃもじが可哀想で針を刺せなかった。。



しゃもじが調子悪くなってからというもの、あんなに仲の良かった兄妹が、一緒に居ることはほとんどなくなった。



しゃもじが、コゲを寄せ付けなくなった、という感じ。



この日…

じっと座り込み、玄関マットの上で外を見ているしゃもじに、珍しくコゲが寄っていき、クンクン匂いを嗅ぎ出した。



そして…

「ウゥゥゥゥ」とすごい声で威嚇した。



こんなにすごい威嚇は、これまで一度もなかったからびっくりした。



しゃもじだと認識出来ないくらい、最期の時の独特な匂いが出ていたのか…



「コゲ、やめなさい。」

とっさに怒ったけれど、コゲに悪気はない。



動物の習性で仕方がない事とは言え…



誰とも目を合わせず、下を向いて黙り込んでいるしゃもじが哀れで可哀想でたまらなかった。



「しゃーくん、大好きだよ」

と言いながら、しゃもじを抱きしめて泣いた。





しゃもじが吐血してから、私もずっと寝不足だったので、帰省していた娘に一晩だけしゃもじのことを任せて、2階の寝室で寝た。



しゃもじの事が気になって、そんなに寝れなかったけど、週末の仕事が立て込んでいたので少しでも身体を休めたかった。



翌朝、バタン、バタンと音がしたのでびっくりして飛び起きた。



しゃもじに何かあった??



と慌てて階段まで行くと、なんとしゃもじが階段の2段目にうずくまっていた。



私が2階に寝ていることが分かったのか、後を追って上ってきたのだ。



直ぐに駆け下りて、しゃもじを抱きかかえた。



か細く「ナァァァ」と泣いたしゃもじ。



もう意識も混濁して、フラフラで歩くこともままならなかったのに…



「ごめんねごめんね、しゃーくん、お母さん上で寝ちゃってごめん。しゃーくん許して。。」



泣きながらしゃもじに謝った。



しゃもじは精一杯の力を振り絞って、私のいる2階に行こうとしていたと思うと、涙が止まらなかった。



うとうとしていた娘もびっくりして飛び起きた。


「いままでしゃーくん横になってたのに、いつの間に…。ママが恋しかったんだね」と。



この時のしゃもじの姿、表情、「ナァァァ」とか細く泣いた声、



一生忘れない。



しゃーくん、ごめん、ごめんね。