母はジムに行かなくなって、
本当に父以外の人と関われなくなって
人と話したいみたいだ。
どこへ行っても色んな人によく話しかけている。
治験が始まる日、
行きのタクシー運転手さんとも
いつものように色んな話をしていた。
運転手「今の医者はカルテしか見ないから」
母「昔の医者はまず患者の顔を見て、
『顔が青い』とか言ったよね。
今、先生に顔なんて見られたことないよ。
ずっとパソコン見てる」
運転手「カルテしか見てないんだよ。
先生に色んな話して、教えてあげたら?」
母「教えてあげることなんて何もないでしょう?
先生はなんでも知ってるでしょ」
運転手「話しかけたら乗ってくるかもよ」
この時の先生は、今までの先生の知っている先生に
背骨に詳しい先生がいるから
その先生の見解を聞いて当たりをつけていくということで
また違う初めての先生だったが
前回までの先生のお友達(?)だけあって
また良い先生だった。
待合室で待っている時
整形の中でも何番か呼び出しがあって
「3番の先生がいいな」と思っていた。
呼び出しの声が聞き取り易くて、優しそうだったからだ。
そしたら3番から呼ばれた。
名前をなんて呼んでるのかわからない先生も多いので
(この病院に限らず)
その時点で良かったと思った。
先生は終始母に話しかけていた。
付き添いの私ではなく、母に。
私が「質問してもいいですか」と言ったら
私の質問にも答えてくれた。
そして先生が説明して母に
「この後、新しい治療をしましょう」となって
その前に薬剤師さんから説明があるということで
それを聞いてたら怖くなってしまったみたいで
そしたら薬剤師さんが
「先生がもう一回説明してくれるそうです」って。
こういうお医者さんもいるんだな。
さっき説明してくれたのに
またもう一回説明してくれるなんて。
それで母は(渋々だけど)納得して、この日から新しい治療を始めたんだ。
この後、薬局で一時間くらい待ったんだけど
その時
母「先生、私の顔見て話してくれたね」
と言ってた。
この日の朝の運転手さんとの会話を覚えていたのかな。
この日何度も何度も
母「今日、CT撮らないといけないんだっけ」と言ってて
ほんの30分前に撮ったので
私「もう撮ったよ」
母「そうだっけ、全然覚えてない」
とこの会話を何度もしたんだけど
朝の運転手さんとの会話は覚えていたのかもしれない。