昼夜を問わず、平日休日を問わず
両親からは頻繁に電話があった。
「母の携帯が見つからない」とか
「薬が見当たらない」という程度のことから
父から「母の介護は自分一人では無理だから
施設に入るか入院するように説得してほしいから
今から来て」とか

父は実際には全く何もしていないのだが
自分が母をかいがいしく介護する良い夫と思われたいのか
もしくは妄想が彼の中では現実になってしまっているのか
作り話にしては詳細だったり
それがもし本当なら父も大変だろうなどと
それでも親の言う事なので、まだ信じてしまうこともあり
だからこそ振り回されてしまうのだが
ここがやはり他人とは違うんだと思う。
両親とも認知症のような症状がどんどん強くなり
認知症の人が言ってることなんだから
流さなくてはいけない
腹を立ててはいけないと思っても
つい信じてしまったり
それで振り回されて腹を立ててしまったり
それも更年期のせいもあるのかもしれないが
自分でも驚くほど怒りすぎてしまう。
そして一度スイッチが入ると歯止めが利かなくなって
電話口で泣き叫んでしまったことも
2回ある。

父はプライドだけはとんでもなく高いので
扱いが非常に面倒で難しくもある。
社会でそれなりにやってきた自負がある分
余計にそういうところが強い。
父の言ってることは流そうとすると
そういうところには非常に敏感で
自分がまともに相手にされていないと察知すると
激高する。

背骨を骨折している母のこれからをどうするかで
私はいっぱいなので
正直父の相手、しかもそんなくだらんプライドのことまで
気遣ってやる余裕は全くない

実家のエアコンが壊れて
新しいエアコン手配で
夫と二人、週末土日とも毎週実家に行っても
「もう何年も住まないのに」とか迷惑がられ。
熱中症で死なれてもこっちも後悔するので
両親のために色々考えて色々やっても
ありがたがられるどころか
迷惑がられても
それでも私が放っておけば
あの二人はそのまま死んでしまう。
あの二人は私と、私の夫の支えだけを頼りに生きている。

その日、両親のことでほとほと疲れ果てていた私は両親からの電話に出なかった。

夕方私から両親の携帯と実家の固定電話に電話しても誰も出なかった。
このところ、向こうからは向こうのタイミングで頻繁に連絡はくるものの
こちらからの連絡には一向に応答がない(LINE含め)ので
あまり気にはしていなかった。

するとほどなくして母の携帯番号から着信があったので
出ると知らない若い男性の声だったので
一瞬パニクッった。

救急隊の人だという。
今、実家に来ているという。

かかりつけ医には受け入れを断られ
救急隊が当たってくれた病院も断られ
今日は自宅で過ごしてもらうことになるので
家族の了承を得るために電話したとのことだった。

両親は私が電話に出なかったので妹に電話したようだ。

妹は家族で沖縄に1週間旅行中だったそうだ。
親には「地域包括支援センターに連絡した方がいい」と言って
電話を切ったそうだが、両親が連絡するわけがないので
思いなおし、自分で電話したそうだ。

妹がかなり強く言ってくれたおかげで
地域包括支援センターの方が実家へ訪問してくれたそうだ。
母が2階で動けなくなっていたそうだ。

以前、父が浴槽で動けなくなった時、
地域包括支援センターに相談したが
救急車は来てもらえないだろうとのことだった。

今回も妹には同じようなことを言って
救急車から注意を受けるかもしれないとまで言ったそうだ。

だから地域包括支援センターが自宅に訪問してくれるとは
到底思えなかった。
妹が相当強く言ってくれたのだろう。

母の様子を見た地域包括支援センターが救急車を呼んだというのだから
やはり家族が説明しても軽く見られてしまうのだろう。

救急隊の指示で地域包括支援センターから
かかりつけ(と言ってもまだ1回しか診察してもらっていないが)病院に
診察してもらえるか聞くよう言われたそうで
連絡してもらったが、昼と夜の医師が切り替わる時間なので診れないと
断られたそうだ。

他の病院には救急隊から連絡してくれたが
そちらも断られたそうだ。

次回へ続く