死んでも終わらん⑨
××峡、
××ダムと××温泉沿いの川から流れ来る大川が
**樋と言う水引場で二つに別れ、本流の大川は平野を貫き海へ、引き込み側の**川は市内を巡り城濠へと続く・・・
10月吉日無事女の子が生まれた、優花と名付けた。
伸二!
ここまで、ずいぶんと金を使った?心を入れ替え地味に暮らし、借金もやっと半分以下に減らして来た頃に、
隠れ同棲と言うか秘密の生活に又借金を繰り返し、カ-ドキャッシングだから限度額まではいつでも簡単に引き出せてしまうのが落とし穴?外食や外泊、何だかんだ?で又元の満額まで借金となり。
追加して出産費用やら準備費用、ベビー用品等々!本当のところ崖っぷち状態だった。
それでも何とか切り詰めながらの生活で一年、そして又半年、祝い金や周りの親族・同僚等からの助成も有って、平穏な?時が過ぎた。けしてまともな暮らしでは無かったが、二人とも貧乏生活には慣れていたから子供さえ普通ならと、耐えていた。
そろそろ文太の出所の頃、生活態度が真面目なら出所前になると外苑清掃を担当する事になると言う。最後の面会の頃に、伸二と文太は初めて互いの顔を見た?離れた所からではあったが・・・
監視の元、3~4人で園芸らしき清掃らしき事をリヤカーを引きながらやっていた、ちょうどその時だった。
出所の日は表門で喜びの言葉も掛けられず、慌ただしく純子の車でどこかへ消えて行った文太。
1歳半になった子供と早紀と伸二を前に、言いたい事も堪えてその場を逃げたのか、それとも・・・純子と二人きりになりたかったのか?・・・
何にしても文太の怒りが表面だけでも治まっていた事に安堵した、早紀も伸二も。
純子は大いに不服そうだったが?逆に文太の方が窘めていた。
ここらで、メデタシ!メデタシ!で終わり。
なのだが?そうは行かないのが世の中で・・・
早紀も母親として、大人の女として、社会人として世の中に参加し溶け込まなくてはならない!なんて、まるで早紀も母子家庭になるのを見越したかのような会話?
早紀は託児所付きの自動車学校へ通い、ワ-プロの通信講座を学び・・・
まだまだ携帯電話もパソコンも世に定着する前の頃、ちょうどバブルが弾ける直前の事でした。
文太は純子のアパートに同居し、又良からぬ噂を耳にする・・・
純子は純子でホテルでの不正行為らしき噂もチラホラ見えて来た。だから退社したのか?
何にしても文太はミザル!イワザル!キカザル!
何事も無く、黙って様子を伺うだけの良いおじいちゃんだった。
それよりも純子のホテルでの不正な会計事務を心配している様子で、何をしたのか、何故逃げるように退社したのか、早紀から相談された伸二も何となく感ずき始めたが・・・今となってはシラを切ってしまえば悪いのは元社員では無く、管理役である上司であり会社自体の責任であり、何の問題も無いだろう?と言うしかなかった。
たぶん ?の事だろう・・・と伸二は考えたが、自分とは別の部署の事だし、今では身内?の事だし、そうこうしてる間もなく人事異動が有り、永年勤めていた役員が依願退職をした。いや、させられた?。
詳しい事は伸二にもわからなかったが、新任の会計士に色々暴露され居づらくなった?ようだった。それらは・・・伸二も入社以来から感ずいてはいた、少しずつ何となくではあったが。
新時代がコンピュータが暴いたのか、もう昔のドンブリ勘定では通用しない世情になったのだ。
遅すぎたぐらいである。
かくして!純子の罪もうやむやになった。
総務部経理部は総入れ替えになった。伸二の上司は都合よくその前に定年退職をしていた為に、管理課には何の監査も入らなかった。
会社とは、こんなもんだ!貢献度が高かろうと低かろうと、君の替わりは常に待っている。
たとえたった一度の落ち度でも、社風を乱せば降格か左遷か嫌なら退社。
明日は我が身か、会社の掟?恐い縦社会である事を伸二は改めて知った。
真実の所は解らないが、
文太のDrugの購入資金を工面していたのではないか?等と勘繰る伸二だった。
そんな心配を他所にまたも疑わしき文太の様子?懲りない中毒者なのか、逃れられない組織の誘惑なのか?刑事の影が怪しく動いていた。
つづく
これは、フィクションであり、すべて架空の作り話しである。リアルな情景を作り立てたい作者の意図も架空のものです。