②兄と妹? | じりじり『人生こんなもの』

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じりじりジィの『自叙伝』? 青春から壮春へ! くたばる前に? 書き留めて置きたい色々!!!じりじぃ鄕?になる前に・・・えぇ加減な奴が、えぇ加減に生きて来た? えぇ頃加減な雑記帳です!笑い飛ばしながら、読んでください
精精精

死んでも終わらん(2


伸二の寮室へ度々訪れる様になった早紀と色んな話をした、

家族や境遇の事、将来の事、故郷の友達の事、毎夜話しが途切れる事はなかった。
早紀は伸二の言う事だけは素直に良く聞き、相談事もよく持ち掛けて来た。

伸二は例の如く?寝酒の焼酎を欠かす事は無い、
テレビも電灯も点けたままいつの間にか眠りに就いてしまう事を、唯一の快感としていた。

だから早紀がいつ部屋に戻ったのかも知らないで毎朝を迎えていた、ドアの鍵も掛けなくなった、

まるで妹が出来たか?のようで、何だかとても!
彼は楽しかった・・・


早紀は伸二がどの辺りから酔っ払っているのか?さっぱり解らなかった。
話しは途切れる事無く続き、そしていつの間にか
静んでいる。早紀はテレビと電灯を消す・・・

パジャマの上にジャケットを引っ掻けて帰って行く、夏も終わりの深夜の事、父娘の様な兄妹の様な、しかし男と女。


35歳の伸二は年齢よりも若く見えた、27歳と言っても誰もが疑わない童顔の好青年風だったから、二十歳以上にも見える早紀とのカップルは、職場の一部では公認の仲となって冷やかされたりもした。

夏休みが過ぎても帰らない早紀を心配して父文太が故郷から何度も尋ねて来た様だが、早紀はこの時、高校中退を決意していた。

文太はホテルの支配人に早紀の事を宜しく頼むと言い残して帰って行ったそうだ。

伸二は文太に会った事は無く又早紀も伸二の事は父文太には話さなかった、文太も愛人の純子も早紀とボ-イフレンドの南君との関係を心配している様でもあり、親離れの早紀を放任するかの様でもあった。ただ、Drugは見え隠れしていた・・・


10月になり繁忙期も過ぎた頃、早紀は故郷の高校へ戻った。

一ヶ月の休学手続きをすれば復学出来ると言う、学校側の配慮でもあったらしい、しかし多少なりとも大人の世界を垣間見た彼女にとっては、学校と言う所が更に退屈でつまらない所になっていた。

彼女の友達は皆シンナーに溺れ話しにもならなかった、

因みに早紀が友達と称する男達とは総て肉体関係が有るのだ?と言う・・・

大概の事では驚かない伸二だったが、
ホテルの社長の息子(大学生)つまり二代目御曹子の部屋に泊まった事を聞かされた時は、流石に狂いそうになった!

伸二にとっては次期社長である、現社長のひとり息子である。

伸二にはそれが家庭環境の歪みなのか最近の若者症候なのか、それとも単なる女の快楽なのか理解の枠の範囲を超越していた。


伸二は早紀を戒めてはみたが、あっけらかんとした彼女を可哀相にも想えた。

親の代わりにも兄の代わりにもなれない、やはり他人の男、この娘を更正させられるのは愛する恋人しかいないのかも知れない・・・

伸二はそう感じて、遣る瀬無い想いを誤魔化そうとしている自分を知り、もどかしくも思った。



11月からまたホテルでバイトする!

故郷の高校はやっぱり中退する、

と電話で話していた通り早紀は戻って来た。

今度はル-ムメイドとしておばさん連中と一緒に働く事になった、純子からも宜しく!との再三の電話、昼も夜も電話に出ない早紀を文太も心配している様であった。


相変わらず南君との恋人ごっこは進んでいるようで、
彼の帰宅後は例の如く伸二の部屋での惚気話し、

穏やかそうな日々が続いた。

しかし寒々、夜の冷たさも本格的になりつつ原付免許のスクーター彼氏は高校三年生、

進学か就職かどちらにしても夜間外出を禁じられるのは世の常、親子の常。


木枯らしの訪問者も毎晩とはいかなくなって来た、
寮舎も山野辺の小高い丘の上に在り平地のそれよりも寒風がきつい。

当然、電話での恋の語らいが多くなる、同寮の訪問者は少しつまらなそうだ?



つづく