(Introduction to Economics for development practitioner)
その日、2008年に起こった 『米危機』

あるポッドキャストを聴くことになった。
2008年に世界中のあちこちで米が不足し、
たった4ヶ月で米の値段は、1トンあたり300ドルから1200ドルになってしまったのだ。
※興味のある人は→『How Fear Drove World Rice Markets Insane』 (約5分、英語、文章付)
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元々のきっかけはインドらしい

1.インドが小麦よりも安い米を確保するために、インド米の輸出を禁止。
2.インド米の輸出が無くなる→他の国が買える米が少なくなる→米の値段が上がる
3.他の国も米の輸出を制限するようになる + 人々が米を買いだめする
=米の値段がさらに上がる の悪循環へ

4.フィリピンのような米の輸入国の場合。
パニックになった政府が 「あまり米を食べるな」 と発表。
すると人々はさらにパニックになって米をもっと買いだめし、米の値段が上がる。
さらに政府の汚職で、とある国営企業から
税金を使って高い米を大量に買う→ 米の値段が上がる。
フィリピンのパニックはアジアへ拡大。
もともと世界に十分な米はあったのに・・パニックと自分勝手な行動のために
マーケットがうまく機能せず、米の値段がかなり上がってしまった

5.こんな状況の中、なぜか日本には良質の150万トンの米

アメリカから輸入した米だ。
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なるほどなるほど~ φ(`д´)メモメモ・・・・・・・え!?

急に日本が出てきたのでびっくりした。
40人近くいるクラスで日本人は私だけ。
日本、という単語が出てくるだけで何だか異様に気まづい

授業中聴いたのは、同じ内容で20分くらいの違うやつだったと思う。
パーソナリティがおふざけ口調で
「でもさ、日本人、アメリカの米おいしくないって全然食べないんだぜ、ハッハッハッ」
というようなことを言ってたので、やめて~~~~!

先生が、日本の農家と政府の関係についてみんなの前で聞いてきた。
大きなクラスで発言するのが実は初めてだった私は、2言3言発言するので精一杯。
みんなに一斉に注目されたので顔が真っ赤になってしまった

休憩時間、ジンバブエ出身のクラスメイトが話しかけてきた。
「日本はアメリカから輸入して余った米をどうしてるんだ?」
「え?さ、さぁ・・?他の国にあげたりしてるのかもしれないけど、多くは捨ててるのかも」
「それだったらジンバブエに分けるべきだ。そうだろ?
俺が日本の政府に訴えるよ」
その日に限って料理する時間が無かったので、
持ってきた夕飯が米だけっていう。。


話題が話題だけに、みんなの前で食べづらくて結局食べそびれてしまった。
お腹がすいたのと恥ずかしかったのが混ざって、
後半の授業はほとんど頭に入らなかった。
しゅん

他のクラスメイト(アフリカ出身)とチャットをする。
「いや~、今日は本当に恥ずかしかった。
だってポッドキャストで何度もJapan, Japanて言うんだもん。」
「え、なんで?日本は何も悪いことしてないじゃん」
「でも、私達はアメリカの米を食べていないんだよ」
「マイ、ポッドキャストの言ってることちゃんと理解した?」
・・実は後半、集中できなくなって、ほとんど聴けていない

「もしアメリカの米を食べたくなかったら食べなくてもいいんだよ。
米の値段が上がったのはインドが原因だ。
日本は悪くない。むしろ解決に協力したんだよ。」
つまりこういうことだったらしい。
日本に米が余っていたのは、WTO(World Trade Organization: 世界貿易機関) の決まりで
アメリカから米を輸入しないといけなかったから。
買った米はアメリカの許可無しでは他の国に輸出できないのだ。
でも今回は緊急事態なので、特別に日本がフィリピンへ米を輸出できるようになった。
その発表が行われると、米の値段は一気に下がったーーーーー。
「だから、日本はジンバブエにも米を送れない。
日本に無理に米を買わせているのはアメリカだろ?
アメリカこそ、日本に米を買わせる代わりに、他の国に米をあげないといけないんじゃないの。
マイは気にせず毎日日本の米を食べていいんだよ、恥じる必要はどこにも無い」
「日本は素晴らしい国だ。日本人は優しいし、信頼できるし、何より誠実だ。
日本人であることをむしろ毎日誇りに思うべきだよ。
JICAにだってすごく感謝してる。貧しい人達にいいサービスを届けるために
真剣に、そして情熱的に働いている。
それから他の国と強い協力関係も築いている。
人々に無理強いは決してさせない。
日本のことが好きだし、心から尊敬してる。
だから君の素晴らしい国をいつか訪ねてみたいんだ」
・・・なんでか少し涙が出そうになった。
私は本当に何も知らない。
もっと世界のこと知らなくちゃいけないって、この時思った。
※先生がよかったおかげで、この経済の授業は本当に素晴らしかった。(秋学期の授業で一番!)
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2007-2008年に食糧の値段が急激に上がった8つの主な原因について。
本の要約はコチラ→ http://christopherteh.com/blog/2011/02/ (英語)