途中から嫌な予感はしてたんだ。
パラクーからサバルーという町にタクシーで向かう途中、
私が疲れてぼーっとしていると、
一緒に乗っている同期の協力隊員達が、
突然 「きゃ~!!」 と大声で叫びだした。
はっ

状況がイマイチよく分からない。
タクシーが急カーブをして
向かってくる大型トラックの横をすれすれで通り抜けたとき、
ようやく全てを理解した。
タクシーの前には大きな木が横倒しになっており、
反対車線からは大型トラックが走ってきていた。
私たちが乗っているタクシーは猛スピードで運転中。
木に乗り上げるか、トラックに正面衝突するか
というとき、トラックが外側によけ
木とトラックの間に一瞬できたすき間を
タクシーは何とかくぐりぬけたのだった。
1秒でも遅かったらダメだった。
もしかして、今のかなりヤバかったんじゃ・・。
みんなすごい剣幕で怒り、
その場でタクシーを乗り捨てた。
私は後ろの座席だったけれど、
前の座席に座っていた同期隊員が
正気を失ってガタガタ震えだしたのを見て
事の重大さが後から身にしみ呆然とした。
話を聞いてみると、
他の人たちは 「トラックとの正面衝突を覚悟した」 らしく
目をつぶって覚悟を決めていたらしい。
何だか自分の反応の鈍さが嫌になる><
とにかく、無事でよかった。
本当にそれだけ。
ところでいったいあのタクシーに対して
私たちはどうすればよかったんだろう??
出発するとき、ガソリン代を先に払えと嘘を言われたとき、
借り切ったはずなのに運転席に運転手の上司が
無理やり乗り込んできたとき、(運転席に2人座ることになった)
スピードを落とせと何度言ってもまたすぐにスピードが上がったとき、
無理にでも先に払ったお金を気にせず
乗り捨てればよかったのだろうか。
町も何もないところで?
他のタクシーが全然見つからなさそうなところで?
・・そしてこの日、もう1つ小さな事件が起きた。
その後無事にサバルーという町について、
同期の協力隊員の家にみんなで泊まった。
夜、ベランダの隅から、子猫

「もしかして出られないんじゃ」 と心配になった私達は
気にして子猫を探していた。
それを手伝った警備員。
やっと子猫を見つけ助け出せた、と思った瞬間
警備員がその子猫を思いっきり振り上げて
コンクリートに叩きつけた。
!?
ものすごい音がした。
声を失い、呆然とする私達。
(ゴメンナサイ、こんな記事を書いて・・><

「何で?!今何をしたの!?」
とみんなで叫んだ。
その剣幕にびっくりする警備員。
「だって自分の手をかんだから・・」
と言い訳をしひざまずいて謝ってくる。
警備員にしてみたら親切心だったのかもしれない。
私達がうるさがって迷惑がっていると思っていたのだと思う。
ベナンにはペットという感覚が無いから、
ねずみやコウモリを殺すのは問題なくて
何で猫はだめなんだ、という感覚なのかもしれない。
かわいい小さな子猫はほどなく息をひきとり、
みんなで土に埋めてお祈りをした。
せっかく元気になりかけていたのに、
またみんなどよ~んと気分が沈んだ。
「何だか今日は死と向き合う1日だね」
と誰かがぽつりと言った。
いったい今日は何だったんだろう?