小学一年生
小学生になって初めての夏休みにワクワクしていた。
担任の先生から夏休みの宿題の説明を話半分に聞いていると、突然慌てたように名前を呼ばれた。
頭の上にはてなマークを出しながら先生のところに行くと、説明途中の宿題をどっさり渡されて
「あなたなら説明聞かなくても分かるね?おじいさんが亡くなったって。お父さんがお迎えに来てるからすぐに帰る準備して。おじいさん体調悪かったの?」
と立て続けに言われてすごく焦った。
おじいちゃん?何の話?訳が分からないまま帰る準備をして昇降口に行くと父と姉と確か校長先生もいた。
子どもたちから人気のゴールデンレトリバーが角の家の広い庭にいた。
その家の角を曲がりながら私と姉の手を引いて早歩きをする父に
「おじいちゃんが死んだって何?どういうこと?」
と何度も何度もしつこいくらい繰り返し聞いたのをよく覚えている。
家に着くと母が淡々と荷物をまとめていた。'
'死''というものがどういうことかよくわかっていなかった私は、いつもと雰囲気が違うながらもただいとこやおじいちゃんおばあちゃんに会えるのが早まったと喜んでいた。
次に覚えているのが、火葬したあとのお骨。ほとんど綺麗な白だったがところどころピンクに染まっていたように思う。
それから、法事の時はいつも同じお寺で大人たちはお坊さんのお経を聞いて、私たち子どもは隣の保育園の遊具で時々飛んでくる蜂から逃げながら、遊んでいた。
二年生
「みんなのせいで先生が校長先生に怒られました。」
教室で、担任の先生が泣きながら言った。
そんなこと言われても…と戸惑った記憶がある。
どういう経緯でそうなったのか、そのあとどうやって和解したのかさっぱり覚えていない。
ただこの光景とセリフだけが忘れられないでいる。