第26章:招かれざる出逢い
そんな毎日の中、ある日会社の女上司からチラシを一枚、手渡された。
「ねぇ、これ行かない?人が集まらないのよ。お願い。」
ちらっと目を落とすと、そこには《JA主催・婚活パーティー》と書かれていた。
どう見ても怪しげだったが、運営がJAと知り、少しだけ警戒が緩んだ。
「…JAがやってるんですね。農協ってことですか?」
「そうなの!私の同級生が主催してるのよ!地元なの、ド田舎すぎてね、女の子が集まらないの。お願い、ほんと困ってるのよ〜!」
強めに推してくる女上司に、私は戸惑った。
「いやいやいや、私バツイチで子供3人いますよ? 参加していいタイプじゃないでしょう…。冷やかしと思われますよ?」
すると上司は、満面の笑みでこう言った。
「大丈夫よ!あなた綺麗だから!そんなの関係ないって言われるわよ!」
一方的な褒め言葉に返事を濁しながらも、強く押され、ついこう言ってしまった。
「えー…じゃあ、独身の友達に聞いてみます。1人で行くのはちょっと…」
そう言って、その夜、仲のいい友人にLINEを送ってみた。
《ねぇ、婚活パーティーあるんだけど一緒に行く?人が集まらないらしくて…上司の知り合い主催らしいよ〜》
返ってきたのは軽い返事だった。
《いけたら行く〜。》
──結局、それっきりだった。
上司にも「一応声はかけておきました」と伝え、私自身もそのことはすっかり頭の隅へ追いやられていった。
まさか、あの紙切れが、人生の次のページをめくる“伏線”だったとは、
このときはまだ、思いもしなかった──。