日経平均株価は2月22日、日本の経済構造が変わって34年目にして史上最高値を更新した。利益の源泉が貿易から投資にシフトし、30兆円の海外収益が日本の企業収益を支えている。日本の現在のインフレも株価を押し上げているが、賃金はまだ下がり続けており、成長の果実はまだ日本の家計に届いていない。

     株価が史上最高の38,915ポイントを記録した1989年と比較すると、日本企業の収益性は改善し続けている。企業統計によると、2023年1月から9月までの平均売上高経常利益率は7.1%で、1989年から3ポイント以上上昇した。

名目国民総所得(GNI)と名目国内総生産(GDP)の差は、2023年には33兆円となり、1989年から約30兆円増加した。GNIとGDPの差は、海外からの収入と海外で発生した費用の差に等しい。日本企業が海外子会社から受け取る配当金は重要な役割を果たしている。

1990年代のバブル崩壊後、日本は過剰設備と雇用を抑制し、物価下落のデフレスパイラルに陥った。日本企業は生産拠点を人件費の安いアジアに移した。2008年のリーマン・ショック後の円高で、海外シフトは加速した

  インフレも株価を押し上げている。日本の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は、1989年の2.4%から2023年には前年比3.1%上昇した。企業の売上高は物価を上乗せした名目なので、物価上昇に伴って売上高が増えれば、好業績は株価にも反映される。

      為替レートが1ドル=150円前後まで円安が進んだことも、円換算で海外からの配当や輸出が増加し、日本企業の業績を押し上げた。

しかし、日本経済全体にはまだ恩恵は及んでいない。2023年10-12月期の実質GDPは前期比年率換算で0.4%減となり、2四半期連続のマイナス成長となった。特に個人消費などの内需が低迷している。

      日本では、2023年春の労使交渉における賃上げ率は3.6%と過去30年で最も高いが、実質賃金(従業員30人以上の企業)が前年比1.9%上昇した1989年の5.17%を下回り、賃上げ率は物価上昇率を上回った。ただし、2023年にはマイナス2.0%となる。

     2023年、日本の設備投資額は100兆円に近づき、1991年以来最高となるが、1989年比では15%増に過ぎない。この間、日本企業の内部留保は6倍近くに増加した。価格転嫁による賃上げ促進は、消費と投資の好循環を誘発する「景気上昇に伴う株価上昇の実感」を日本が実現する鍵である。