今年はたくさん良い映画を観たから、

ブログに記事を残そう残そうと思ったら、9月になってしまい…

去年もそうだったけどコロナ禍になってから時間の流れが早すぎませんか?

特に私にとって、1週間の仕事を終えて、金曜夜から月曜朝までの時間の流れは、異常事態。

そんなことを考えた時、何度でも観たくなる映画がこちら。

After Hours

『アフター・アワーズ』

(1985/アメリカ製作)

監督 マーティン・スコセッシ

主演 グリフィン・ダン、ロザンナ・アークエット他

 

85年いまでいうSEのワープロのプログラマーをしているポール(グリフィン・ダン)は、

なにも変わらない毎日にうんざりし新人プログラマーに指導しているものの心ここに在らずというシーンから始まります。

終業時間になった途端にプライベートの時間に飛び出すのです。

After Hoursは「終業後の時間」つまり日本語で言う所の”華金”とか、”アフター5”みたいなもののこと。

 

さぁ早く帰れる今日は何しよう。期待を胸に会社を飛び出すポールの気持ち、サラリーマンの方ならきっとわかるのではないでしょうか。

 

しかも場所はニューヨークマンハッタン。世界のど真ん中。

自分だったら何するかな。ワクワクが止まらない時間ですね。

 

この日のポールのアフター・アワーズの行動はこうです。

家に帰ってまったり過ごそうと思ったのですが、

部屋に入って見まわしてみるとなんとも味気ない自分のアパート

刺激的なものは何もなさそう、さてテレビでもつけるか…面白くない何も面白くなさすぎる!!

ということで、ヘンリーミラーの『北回帰線』を手に近くのカフェへと繰り出します。

 

一人カフェで本を読んでいたら、出会ってしまうのです。

マーシーという超絶可愛い女の子に。

日本だったらなかなかありえないけれど、

舞台はニューヨーク。人が人懐っこくて、知らない人に話しかけられるのは日常茶飯事の街。まさにそんな出来事が起こります。

 

マーシーはソーホー(マンハッタンの南)友達の家に向かうということで

電話番号を渡され、言われるがままに彼女の友達が住むというアパートに電話をかけます。「いまから会いに来ない?」そう言われたダンは、待ってましたとばかりに、

大急ぎでタクシーを拾いマーシーの住むソーホーのアパートに向かいます。

これがすべてのはじまり。

ポールの悪夢の一夜が始まるのでした。

 

その夜ポールの身に起きたことをいくつかピックアップします(ネタバレはほどほどに)

・タクシーの運転が荒すぎて唯一持っていた20ドル札が飛んで行ってしまう

・マーシーが情緒不安定

・終電を逃す

・大雨が降ってくる

・泥棒と間違えられる

・町の自警団に追いかけられる

・ポール自身が石膏彫刻にされてしまう

…などなど

とんでもない夜の物語

 

出会う人みんながとっても魅力的で

同時にめちゃくちゃ変。何かが変。全員自分を貫き通してるから。

ニューヨークあるあるですね。

スコセッシのニューヨーク愛が形になっているわけなのですが、

この愛の詰め込み方はスコセッシならではです。

「ニューヨークって変でしょ?(大爆笑)」そんなスコセッシの声が聞こえるようです。

 

物語の舞台となっているソーホーは、芸術家の町として70年代に多くの芸術家が移り住み、

80年代になるとカウンターカルチャーの聖地として人気のエリアとなりました。

人気が出すぎた反動で、あらゆる人が集まる喧騒の街に様変わりしていたのが、

ちょうどこの作品の舞台である80年代中頃。

スコセッシはマンハッタンの中でも特にカオスなこのエリアをあえて舞台にしたのだと思います。

 

 

月曜日から金曜日まで一生懸命働く

会社員にとっては、日常が戦いであり、走り抜けるべき日々なのだけど、

ポールはそれ以上の試練をこの夜、どういうわけか神様の手(あるいはなんらかの運命の力)によって課されることになるのです。

 

金曜夜に疲れた頭で、この映画を見るのが好きです。

今週もやりきった。”もうこの際、あの頭のおかしなあの人たちに出会って今週も終わりにしよう!”

仕事に疲れきったそんな日にオススメの作品です。

 

日本ではあまり知名度は高くないけど、

実はパルムドールの候補になってたり…

海外では人気の高い作品です。

 

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