アカデミー賞授賞式
私はこの日がとてもとても大好きで、毎年心待ちにしています。
学生の頃は自分の体育祭や文化祭よりもワクワクするイベントでした。(笑)
オスカーの受賞者、受賞作品が発表される期待感と、
観客も巻き込んだエンターテイメント、
そして感動のスピーチの数々。
これがたまらなくて…。
心に残るスピーチはたくさんありますが、
私の1番のお気に入りはもちろんこの人の。
ウディ・アレンは賞レース嫌いとしても有名です。
何度もアカデミー賞にノミネートされているにもかかわらず、
毎度欠席します。受賞しても、「ふーん」程度。
欠席理由は、「次の日バーでクラリネット吹かないといけないから」とか、そんな感じで・・・(笑)
ところが2002年3月24日。
彼はアカデミー賞の舞台に現れます。
これが今のところ最初で最後。
前年に起こったアメリカ同時多発テロ。
愛するニューヨークへ想いを込めて。
これは、「何か語らないと」と思ったのでしょう。
このスピーチ
翻訳が見つからなかったので、やってみました!
彼の得意な高度で洗練されたジョークの数々
そして想い溢れる熱い言葉たち。
【以下、ウディ・アレン スピーチ全文】どうもありがとう。
Thank you very much.
That makes up for the strip search.
Let me tell you why I’m here exactly about four weeks ago I was sitting home in my apartment in New York, and the phone rang, and a voice on the other end said, ‘this is the Motion Picture Academy Arts and Sciences’, and I panicked immediately, because I thought that they wanted their Oscars back. ‘Cause I’ve won a few Oscars over the years, and I thought that, you know, they were calling to get them back, and panicked because, you know, the pawn shop has been out of business for ages, and I have no way of retrieving anything, and they said, ‘no this was not it’ and I, I, couldn’t figure it out because my movie ‘The Curse of the Jade Scorpion’ was not nominated for anything this year, nothing, no category. And then it suddenly hit me, maybe they’re calling to apologize?
And I remembered during the course of the year, I had been walking on 5th Avenue in Manhattan, and a homeless man came up to me, and asked me if I could buy him lunch. And I didn’t buy him lunch, but I gave him fifty cents, and I thought maybe certain members of the Academy had witnessed this, and they were going to give me a Jean Hersholt Humanitarian Award because that’s what goes through your mind. I thought maybe that or a Thalberg or something, because you know you start calculating, I’m sixty six years old, a third of my life is over now.
And you know you start to think; maybe they want to honor me?
They said no, they said, here’s what the story is, in view of the terrible events that have occurred in New York over the last year, the Academy wanted to show support and make a nice gesture and put together a little film, paying tribute to movies that had been shot in New York over the years. And they wanted somebody to introduce it, and I said, ‘god you can do much better than me, you know, why not get Martin Scorsese or Mike Nichols or Spike Lee or Sidney Lumet,’ I kept naming names, you know, and said ‘look I’ve given you fifteen names of guys who are more talented than I am, and smarter and classier. They said, ‘yes, but they were not available’.
So, for New York City, you know I’ll do anything, I got my tux, I came out here, it’s a great great movie town. Ever since I was a little kid, movies that I grew up on in New York, movies that were shot there, it’s been a great romantic and exciting backdrop for movies, New York, and it’s a great place to come and work and make your movies because it’s still a thrilling and very very exciting city.
In a couple of weeks I’m gonna be starting another movie, on the streets of New York, I’m going to be filming a romantic movie about a foot fetishist interesting movie the guy is a foot fetishist and he falls in love with a beautiful Harvard professor. She’s absolutely beautiful and she’s absolutely brilliant, and, um, she writes this paper on existential philosophy, and he became sexually aroused by her footnotes.
You know, I begin this in a few weeks in Manhattan, so I plead with you to please come, make the films there, it is, it remains a great great city. The film that you are about to see now, the clips, were loving put together by a terrific New York filmmaker, Nora Ephron, and you can roll this anytime you want now.
丸裸にされる身体検査を通っただけあったわ。
なぜ僕が今ここにいるか、正確にお伝えします。
約4週間前、僕はニューヨークの自分のアパートで座っていたんだ。
そこで、電話が鳴った。
電話越しの人はこう言ったんだ。「こちら、映画芸術科学アカデミーです。」
僕は即座にパニックになった。
何故って、彼らがオスカー像を返して欲しいんだと思ったから。
僕は何年か前に数回オスカーを受賞していたんだけど、ほら、もう質屋はとっくの昔に店終いしちゃっていたし、もう取り返すことはできなかったからね。
そうしたら彼らは「違う、そういうことじゃない」って言うんだよ。
で、僕はさっぱりわからなかった。
僕の作品の『スコルピオンの恋まじない』は今年、何一つ、どの部門でもノミネートされていなかったし。そして突然思いついたんだ、彼らは謝罪の電話をしてきたんじゃないかって。
次に、去年のことなんだけど、僕はマンハッタンのフィフス・アヴェニューを散歩していたんだ。その時ホームレスの男が、僕に近づいてきた。彼は、ランチをおごって欲しいと言ったけど、僕はランチをおごらずに、代わりに50セントを彼に渡したんだ。
それで思ったのだけど、たぶんアカデミー会員の誰かがこれを目撃して、ジーン・ハーショルト友愛賞(アカデミー賞のひとつ)をくれるんだと思ったんだ、感動的だしね。
それか、アービング・G・タルバーク賞(アカデミー賞のひとつ)かなと思った。だって、もうみんな計算し始めてると思うけど、ほら分るでしょ、もう僕は66歳、人生の3分の1が終わろうとしているわけだし。
で、思ったわけだ、彼らは僕を称えたいのかもと。
彼らは、それも違うと言った。そしてこう言ったんだ。
昨年ニューヨークで起こった恐ろしい出来事を考えて、アカデミーは支援の姿勢を見せて、良い振る舞いをして、それで小さな映像にまとめたかったんだ。ニューヨークを舞台に撮られた多くの映画に敬意を表して。
だから彼らはそれを誰かに紹介して欲しかったんだ。
そこで僕は言ったよ、「ちょっと待ってよ、僕より適任はたくさんいるじゃないか、君も分かるだろ、なぜ、マーティン・スコセッシやマイク・ニコルズやスパイク・リーや、シドニー・ルメットじゃないんだ」僕はそうやって名前を挙げ続けた。
そう、そして言ったんだ。「いいかい、僕よりももっと才能のある、しかも頭が良くて、より上等な人達は50人ぐらい名前を挙げられるよ。」
そしたら彼らは「まぁそうですね。でも彼らは日程が空いてなかったんです。」って言った。
こういうわけで、ニューヨークの為に、
僕はどんなことでもしようと思ったんだ。だから僕はタキシードを着て、ここに出てきたよ。
ニューヨークは偉大な偉大な映画の街なんだ。
僕が小さいころからずっと、僕を育ててくれた、ニューヨークの映画、ニューヨークで撮影された映画、ニューヨークは映画にとってずーっと、本当にロマンチックで、心踊る背景だった。
ニューヨーク、それは、やってきて、仕事をして、映画を作る僕たちにとって、偉大な街なんだ。
今もなおスリリングで、物凄く魅力あふれる街だから。
数週間以内に、僕は、また別のロマンチックな映画を撮り始める予定だよ。
ニューヨークの街を舞台にしたやつ。
足フェチについてのロマンチックな映画を撮ろうと思うんだ。
とても面白い映画だよ。
ある男が、足フェチなんだけど、彼はハーバード大学の教授と恋に落ちる。
彼女は絶世の美女で、本当に聡明で、それで、うーんと、そうだな、彼女は実存哲学についての論文を書いてるんだ。その男は、彼女の(論文の)脚注に性的に興奮しちゃうってわけ。
僕はこれをマンハッタンで数週間以内に取り掛かるんだけど、それで、みんなにどうか来て欲しいと思うんだよ。あの場所で映画を作ってほしい。本当に素晴らしい街だってわかるから。
皆さんがこれから観ようとしていて、きっと好きなるこの映画、映像はニューヨークの凄まじい映画製作者によって、まとめられたものなんだ。ノーラ・エフロンだよ。そしてみんなこれをいつだって撮りたい時に撮ることが出来るんだ。