今回は、前号の最後にお話しした

“収容所(ラーゲリー)から来た遺書”

子供達へ宛てた手紙を紹介します。
ほぼ原文そのまま貼り付けます。
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以下抜粋



「子供等へ」

 君たちに会へずに死ぬることが一番悲しい。成長した姿が、写真ではなく、実際に一目みたかった。お母さんよりも、私の夢には君たちの姿が多く現れた。それも幼かった日の姿で‥‥‥あ、何といふ可愛い子供の時代!

 さて、君たちは、之から人生の荒波と闘って生きていくのだが、君たちはどんな辛い日があらうとも光輝ある日本民族の一人として生まれたことを感謝することを忘れてはならぬ。日本民族こそは将来、東洋、西洋の文化を融合する唯一の媒介者、東洋のすぐれたる道義の文化―人道主義を以て世界文化再建に寄与し得る唯一の民族である。この歴史的使命を片時も忘れてはならぬ。

 また君達はどんなに辛い日があらうとも、人類の文化創造に参加し、人類の幸福を増進するといふ進歩的な思想を忘れてはならぬ。偏波(へんぱ)で矯激(きょうげき)な思想に迷ってはならぬ。どこまでも真面目な、人道に基づく自由、博愛、幸福、正義の道を進んで呉れ。

 最後に勝つものは道義であり、誠であり、まごころである。友だちと交際する場合にも、社会的に活動する場合にも、生活のあらゆる部面において、この言葉を忘れてはならぬぞ。

 人の世話にはつとめてならず、人に対する世話は進んでせよ。但し、無意味な虚栄はよせ。人間は結局自分一人の他に頼るべきものがない―といふ覚悟で、強い能力のある人間になれ。自分を鍛へて行け!精神も肉体も鍛へて、健康にすることだ。強くなれ。自覚ある立派な大人になれ。

 子供達よ。お互いに団結し、協力せよ!

 ——(中略)—-

 自分の才能に自惚れ(うぬぼれ)てはいけない。学と真理の道においては、徹頭徹尾敬虔(けいけん)でなくてはならぬ。立身出世など、どうでもいい。自分で自分を偉くすれば、君等が博士や大臣を求めなくても、博士や大臣の方が君等の方へやってくることは必定だ。要は自己完成!しかし、浮世の生活のためには、致し方なしで或る程度打算や功利もやむを得ない。度を越してはいかぬぞ。最後に勝つものは道義だ

 君等が立派に成長してゆくであろうことを思ひつつ、私は満足して死んでゆく。どうか健康に幸福に生きてくれ。長生きしておくれ。




日本民族こそは将来、東洋、西洋の文化を融合する唯一の媒介者
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さらに、ワイコ、ケイタこそが、将来、そして今も、父母の関係を融合する唯一の媒介者でもある

どこまでも真面目な、人道に基づく自由、博愛、幸福、正義の道を進んで呉れ。最後に勝つものは道義であり、誠であり、まごころである

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人道的かつ正義とは、どちらかの味方につくと言う安易なものではない。感情・情動的な行動を取ることなく、道義、誠、まごころを持ってこの問題を見つめ、自身ができることは何か?を見極めて行動をしてほしい。