こんにちは。訪問介護サービス提供責任者のスタッフkです。
これから新築戸建を購入する方、建てる方、もしそのお家を終の住処にと考えていらっしゃるなら、知っておいていただきたいことがあります。
高齢になると(ほぼ)ワンフロアしか使わない
介護が必要な方のうち、ある程度は自由に動ける高齢者でも、2階、ましてや3階フロアはほとんど使っていないことが多いです。
階段の上り下りは体力面だけでなく、転倒やふらつきの経験があると恐怖心からも負担が大きくなるからです。
そうなると結局、1階部分だけで暮らすことになります。
実際に1階にベッドを置いて「何年も2階には上がっていない」という利用者様はたくさんいらっしゃいます。
昔に建てられた家なら、1階に和室、トイレ、風呂、台所、洗濯機、と生活に必要な設備がまとまっていることが多く、問題なく過ごせています。
でも、最近の住宅は2階にリビングがあって1階は玄関だけ、とか、1階はトイレと駐車場だけで生活空間は2階、とかいろいろな設計が増えているように思います。
周囲からプライバシーを守るため、小さな土地を有効活用するため、などそれぞれ事情があるでしょうし、おしゃれな外観が大切なのも分かります。
でも、1階から3階まで全てのフロアに生活設備がバラバラに配置されていると高齢になってからの生活にはすごく不便ですし、
在宅での生活を望んでいる方でも施設に入所する時期が早まってしまう可能性があります。
これから住宅を購入する方、新築で設計から行う方、もしもそのお家で高齢になっても暮らし続ける予定なら、
将来的にはワンフロアで生活する
ことも視野に入れてみてはいかがでしょうか。
介護現場で感じる「高齢になっても住みやすい家」のポイント
これまでさまざまなお宅で介護サービスを提供してきましたが、高齢になっても暮らしやすい住宅には同じようなポイントがあります。
風呂・トイレは別
ユニットバスは、どうしてもトイレ部分の床が乾きにくくなってしまいます。
滑って転倒するリスクに繋がりますし、介助するスペースや湿気の問題からも、できれば高齢になってから暮らす場所はお風呂とトイレが分かれているといいと思います。
門から室内までの段差は少ない方がいい
玄関に上り框が1段ある、というくらいなら段差解消の工夫や体の動かし方などでクリアできる場合が多いです。
ですが、外側の門扉から玄関までが十段以上の急な階段、とか、カーブしたり横向きに傾斜した坂道、岩と砂利でまっすぐな面が残っていない、とかは高齢になってからの外出を億劫にさせる可能性があります。
転倒のリスクも高く、福祉用具や介助の工夫で解決するのが難しいところでもあります。
どうしても階段にしなければならないなら、せめて1段あたりの幅を広くする、急階段にならないようにする、などの安全に配慮することをおすすめします。
最近のおしゃれなお家は、この「危ない階段」をすごくたくさん見かけます。
玄関ドアや廊下の横幅は大切
車椅子が必要になったとき、外に出るときには昇降機か、そのスペースがなければその都度スロープを出して使います。
スロープは福祉用具レンタルで利用できますが、横幅がある程度は決まっています(細いスロープを2本使用する方法もあるが、不安定になりやすいのでできれば避けたい)。
スロープを設置できるだけの、ドアや廊下の横幅を確保しておいていただきたいです。
お風呂とトイレの材質に注意
お風呂やトイレでのヒートショックによる死亡事故は毎年起こっているそうです。
介護が必要になる前から注意が必要ですが、お風呂やトイレの材質によっては冷えを軽減できたり、乾燥しやすかったりする機能があります。
石やコンクリートでできたお風呂と、最近の材質で作られたお風呂では介助するときの体感温度が全く違います。
石などはいくらお湯を使って室温を上げようとしても、なかなか温まりません。
そして、転倒やふらつきのリスクを考えると、選べるのならできるだけ柔らかい床材がおすすめです。
商品名はわからないのですが、利用者様宅で明らかに浴室床の触り心地が違うところがあります。
床が柔らかいのは最近リフォームされたお家ばかりなので、床材は進化しているのだと思います。
「後から変更が難しい部分」を優先する
個人の住宅だけでなく、サービス付き高齢者住宅でも
「なんでここに手すりつけたんかな」
というような場所に備え付けの手すり等が設置してあり、かえって動きにくいようになっていることがあります。
手すりや腰掛け台などは必要になったときに、追加・変更しやすい物です。
こういった「後から変更できるもの」は、便利そうなところに前もってつけておくよりも、
必要になってから・もしくはその直前に設置するほうが体の状態に合わせることができるので使いやすいと思います。
新築を建てる、大規模なリノベーションをする、のなら「後からの変更が難しい部分」「福祉用具や介護技術でカバーしにくい部分」に注意するのがおすすめです。
ただし、体が動きにくくなれば引っ越しするなどの柔軟な対応ができるのであれば、若いときの好みだけで考えても大丈夫かもしれません。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
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