こんにちは。訪問介護サービス提供責任者のスタッフkです。
介護の現場では、ご家族様が「こんなに重い病気なのに介護度が低い」と憤慨していらっしゃることがあります。
そして時々ですが、「なんでこの介護度?」と首を傾げるような低い認定が出ていることもあります。
毎日、便汚染の対応が必要なのに要介護2
便失禁により、毎日、ベッドや衣服はもちろん、床や壁、洗濯機や洗面所にも便汚染がある。
だから最低限の清潔保持のため、訪問介護サービスが必要。
こんなケースは、認知症でなくても、少し理解力が低下しだしたり、もともと衛生面に無頓着な場合は、よくあることです。
弊社では常に「介護保険サービスの財源は税金」ということを念頭においています。
そのため、できる限り工夫して「今の介護度」で使える単位でサービスを組み立てます。
でも、本当にどうしようもないこともあります。
室内が便だらけで、多量の便失禁なので衣服の外まで溢れている。
背中にも全面的に便が付着しているので、当然衣服は全て便汚染がある。
こんな状態が長時間続くのは「人間らしい暮らし」と言えるのでしょうか?
不潔なだけでなく、汚染部分から体が冷えて病気になる可能性もあります。
そのため、体調面は先生に相談したり、トイレに行ってリハビリパンツをご自分で交換できるよう介護士が促したり、
思いつく限りのことを試した後に、本当に打つ手がなくなるとケアマネさんにお願いして変更申請をしていただくことがあります。
ですが、場合によっては「却下」と結果が出ます。
介護度の判定は、ざっくり言うと、
主治医が作成する「主治医意見書」と、認定調査員がご本人と会って作成する「調査票」で決まります。
ですので本当はトイレに行けていない状態でも、主治医意見書では異なる表現があったり、
調査当日にご本人ができないことを「できる」と答えてしまったりすると、状態にあった認定が出ない可能性が高くなってきます。
介護職としてはできる限り正確に情報提供するよう努めますが、調査員さんも
ご本人と床やベッドなどが毎日、便まみれになっていることを実際に目の当たりにしないとイメージすることが難しいのだと思います。
トイレに行ける、着替えもできるけれど要介護4
上記のケースとは反対に、自分で歩いてトイレにも行けるのに、要介護4や5の認定が出ていることがあります。
入院中や手術直後などに認定調査を受けた場合には、その後、急激に回復されて、認定が出たときには全く状況が異なっている、ということも考えられます。
(本来は変更申請等は「手術直後等」ではなく「比較的状態が安定しているとき」が望ましいとされているはずですが、退院までに生活の目処を立てる必要に迫られることもあります...。)
ですが、本当にごく稀にですが「重度の判定が得」「介護度を上げたのは自分の手柄」という勘違いをしてしまい
先生や調査員さんに「実際の状態より悪く伝える」ことで介護度を上げようとする方がいるようです。
その結果、「要介護4」「要介護5」とサービス依頼時にはお聞きしたはずなのに
・一人でトイレに行ける
・着替えもできる
・食事介助も必要ない
・認知症も見られない
とほぼ身体介護が必要ない状態の方もいらっしゃいます。
この場合も、調査員さんは普段の生活を見ているわけではないので、出来ない・全て介助が必要だと言われれば、
「いやいや本当は自分で出来ますよね」と判断するのは難しいと思います。
要支援から要介護になって、気力が低下する場合も
「自分でできることは頑張りたいねん」と出来る限りのことを頑張っていらっしゃった利用者様。
それでも認定更新の際に、要支援から要介護になってしまうことがあります。
例え介護度が上がったとしても、生活していく上での困難が増えていないのなら、気にしなくていいと思います。
でも、真面目で努力家な方ほど
「いつも通りのつもりやのに、悪くなったように見えるんやろか」
「私そんなに悪いの?」
と介護度が上がったことで、気力が低下したり、落ち込んで終われることもあります。
家族に迷惑をかけたくない
一人暮らしを続けたい
そんな気持ちで頑張っていらっしゃる方にとっては、介護度が上がることはショックな出来事の場合もあるようです。
とはいえ実際に必要な介護量が増えているのなら、ある程度の介護度でなければ使えないサービスもありますので、
もしご本人がショックを受けているのなら、「目安なので気にしなくて大丈夫」とご説明する必要があると思います。
日常生活に「どれだけ介護が必要か」
介護認定は年齢や病名ではなく、最低限の日常生活を生活するために必要な「介護の量」で判断されます。
介護度が高ければ使えるサービスは増えますが、デイサービスをはじめ一部のサービスでは利用単価が高くなります(介護度が高ければ必要な人手が増えるため)。
高い介護度が出ればいいというものではなく、その方の状態に合わせて適切に判断される必要があります。
それは税金の適正利用にも繋がりますし、ご本人の自分で頑張る気持ちを大切にすることにも繋がるはずです。
実際に単位がたくさん使えるからとサービスを使いすぎて、結局は身体機能や認知機能を低下させているケースもあるようです。
受診の際や、認定調査の際には、ご本人だけが対応すると全て「自分で出来る」と答えてしまったり、普段より良い状態を見せようと無理をされることもあります。
適切な認定を得るために、ご本人の状態に合わせて、どなたかが立ち会う、事前に必要な情報を伝えておく、なども検討してみてはいかがでしょうか。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
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