こんにちは。訪問介護サービス提供責任者のスタッフkです。

 

相続した実家の片付けが進まない、親の家に物が多すぎて心配。

現在の高齢者は「捨てられない世代」とも言われています。

 

ですが、介護の現場で見ていると、どんなにたくさんの物があっても「使うものは少しだけ」なんです。

 

 

  屋根裏、倉庫、物置

介護が必要な状態になると、行動範囲が狭くなります。

 

これは外出の機会が減るというだけではなく、室内でも同じです。

 

屋根裏部屋には上がれなくなりますし、庭の倉庫や物置にも立ち寄らなくなります。

 

こういった場所には、「普段使っていない物」「処分を保留している物」を収納している方が多いと思います。

 

「屋根裏にいらんもん押し込んだけど、もう(体力的に)降ろされへんショボーン

 

「この家も片付けようと思とったのに、体が動かんようになってもたショボーン

 

といったお話を聞くこともあります。

 

ですが、介護保険サービスではルール上「大掃除」に当たるような片付けを行うことはできません。

 

自費サービスをご提案するくらいしか出来ることがないんです。

 

そして結局、そのまま施設に入所されたり、お亡くなりになったりして、次の世代が片付けを担うのが現実です。

 

  2階

年齢が上がるにつれて、寝室を2階から1階に移す方も増えます。

 

洗濯物も、時期を見て1階で干すようにしたほうがいい場合もあります。

 

自分の体だけで階段を昇り降りするする以上に、洗濯物や荷物を持っての移動は危険だからです。

 

急な階段や1段ごとの幅が狭い階段は、本当に注意が必要です。

 

実際に、階段の途中で転倒し、頭から出血した状態で気を失っている利用者様を発見したこともあります。

 

救急車を呼んで助かった方もいれば、発見時には手遅れだった方もいます。

 

介護の理想は「その人らしい暮らしを支えること」ですが、やっぱり「命と安全」が一番大事。

 

ご本人の移動を制限することはできるだけ避けるべきです。

 

それでも、認知機能や体力の低下の程度によっては、2階に上がらなくていいように生活スタイルを整えるしかないこともあります。

 

介護ベッドをレンタルするような状態だと、2階に上がることはほぼ不可能です。

 

そうなると2階にしまってある物は、ほぼ使わずに生活されています。

充分に生活出来ていると思います。

 

「もったいない」からと捨てることを先送りする。

 

いざ捨てようとした時に、2階や屋根裏に確認しに行って怪我をする。

 

どう考えても、命や健康のほうがもったいないです。

 

不用品は判断を先送りせず、すぐに、体力がある今のうちに、処分するべきではないでしょうか。

 

  結局は同じものだけ使っている

立派な食器棚にぎっしり詰まった食器、

箪笥に入りきらず窓辺にも引っ掛けてある洋服、

どこからともなく出てくるタオル類。

 

全部まんべんなく使えている方はいらっしゃるのでしょうか。

 

いつも同じ食器、いつも着ている服、くたっと肌馴染みの良くなったタオルだけを使って生活していらっしゃると思います。

 

食器に至っては、そもそも食器棚に戻さずに、洗いカゴにあるものだけをそのまま使って、また洗ったらカゴに置いておく、という場合も多く見かけます。

 

食器でも洋服でも、結局は使い慣れた物、自分に馴染んだ物が安心です。

 

少ない持ち物を、大事に、しっかり使い倒す。

 

こういう暮らしってなんか良いです。

 

防災備蓄品は別として、使わず放置してあることこそが、空間も物も「もったいない」ような気がします。

 

  施設に入れば一部屋だけで暮らす

自宅での介護が難しくなれば、施設に入所することもあります。

 

(もちろん一人暮らしでも「自宅で最期まで」という希望も、ご本人に覚悟があり、ケアチームが整えば可能です。)

 

施設に入れば、一部の豪華なところを除き、小さなワンルームの自室だけが個人的な物を置くスペースとなります。

 

絶対に必要な物と、厳選した少しの大切な物だけを持ち込んで暮らします。

 

入院にしろ、入所にしろ、ご家族が必要物品の準備をされることもあります。

 

そんなとき「こんなに服があるのに、肌着がボロボロのしかないガーン」とか

 

「何十足と靴があるのに、全部汚いムキー」とかもありがちです。

 

(※施設等では転倒防止のためにスリッパ禁止、「かかとのある靴」と指定があることが多いです。)

 

訪問介護サービスで入浴介助に入ったものの、破れた下着ばかりで着ていただける物が見つからずに困ることもあります。

 

肌着や靴下、靴は消耗品なので、使い倒したら新しい物に入れ替えるのは「もったいない」とは少し違う気がするのですが、いかがでしょうか。

 

  「もったいない」は「考えられない」サインかも!?

動線の確保が難しいほど物が多い、傷んだ食べ物がたくさんある。

 

そんな物に溢れたお家で暮らしている方は「もったいない」が口癖になっている方も多いです。

 

本当に「もったいない」と思っているだけなら仕方がありません。

 

でも「考えることが出来ない」「判断する気力がない」「捨てに行く体力がない」という状態を使い慣れた「もったいない」の言葉で済ませているかもしれません。

 

認知機能や体力の低下で、なんでも「もったいない」で済ませているなら、少しのサポートで捨てられる・片付けられる可能性があります。

 

子供に迷惑をかけたくない!なら

生きていくために必要な物、その方が大事にしている物。

 

本当に必要な物は、この2種類だけです。

 

お片付けの世界では「3ヶ月触っていないものは捨てる」とか「1年使っていないものは捨てる」とか、すっきり暮らすためのルールがあるそうです。

 

高齢者のお片付けは、そこまで厳しくなくてもいいと思います。

 

とにかく「存在すら忘れている物」「通り道を塞いでいる物」「床に出たままの物」「腐っている物」などがお家の中に眠っていませんか?

 

60代70代の若い世代の方も、もし「子供に迷惑をかけたくない」と考えていらっしゃるなら、「不用品(ゴミ)を遺さない」ことは最高の贈り物になります。

 

判断力も体力も、経済力もある今のうちに、生活空間を整えてみてはいかがでしょうか。

 

最後までご覧いただき、ありがとうございました!

 

 

『神戸|介護事業所のまいらいふ』

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