こんにちは。訪問介護サービス提供責任者のスタッフkです。
「爪も切ってもらえますか?」
初めて訪問介護サービスを利用する方から、よくいただく質問です。
答えは「はい」でもあり、「いいえ」でもあります。
介護士が切ってもいいのは「健康な爪」だけ
爪切りは日常のケアの一環です。
でも、私たち介護士には資格上の制限があります。
それは「健康な爪だけ」しか切れないということです。
病気の爪、変形した爪、変色した爪は切ることができません。
医療職に依頼するよう決められています。
私はこれまで、訪問介護が必要な方で、全ての爪が健康な高齢者をほとんど見たことがありません。
特に足の爪は皆様、何らかの「不健康」があるように思います。
例えば、分厚い、白い、巻き爪、線が入っている、脆くなっている・・・これらは全て「不健康な爪」です。
高齢の方で、足の爪に透明感があって、ちょうど良い薄さで、形が綺麗で、ツヤツヤしていて・・・そんな方はいらっしゃるのでしょうか?
自覚症状がなくても爪白癬(爪水虫)にかかっている方も多いです。
つまり、ほとんどの爪を介護士は切れないことになってしまします。
手の爪も、足も爪も
・ご自分で爪切りが出来ない方
・介護士が切ってもよい健康な状態
であれば介護士は爪切り介助を行うことが出来ます。
(この場合も、事前にケアプランへの組み込みが必要ですので、ケアマネージャーさんにご相談をお願いします。)
「誰が爪を切るか」問題
ご本人が自分で爪切りを行えず、爪が不健康な場合はどうしたらいいのでしょうか?
ご家族も「人の爪切りは怖いから無理です」と言われる場合、
デイサービスに通っている方ならデイサービスの看護師さんに
訪問看護を利用している方なら担当の看護師さんに
爪切りをお願いすることが多いです。
ただ、看護師さんが配置されているデイサービス等でも「爪切りはしません!」と言われた利用者様もいらっしゃいます。
(今のところ、デイサービスや施設で看護師さんがいらっしゃるのに、爪切りを断るところはごくごく一部の例外だとは思います。)
こんなときは「誰が爪切りをするのか」が問題になります。
本当なら私たち介護士が爪を切れればいいのですが、資格上の制限は利用者様と介護者双方の安全を守るためのものです。
「不健康な爪」を介護士が触ってはいけないのは、医療的な視点が必要だと考えられているからです。
それなら、不健康な爪を切ることは医療職にお願いすればいいことになります。
普段のケアで看護師さんに爪切りをお願いできない場合は、
皮膚科など爪白癬(爪水虫)や巻き爪、変形を診てくださる病院に受診していただくことをご提案しています。
その時に爪切りもお願いすると、対応してくださる病院が多いようです。
介護が必要な高齢者の大半は、自覚症状の有無に関わらず爪白癬にかかっているように思います。
「不健康な爪」を治療して「健康な爪」になれば、介護士が爪切り介助をすることもできます。
受診して治療しつつ、爪切りもお願いして、日々の安全も確保できれば安心なのではないでしょうか。
ここだけの話、こんな事情も・・・
介護業界はわりと高齢化が深刻です。
(介護職員の高齢化が悪いという意味ではありません。
実際に弊社でも実力・経験ともにある60代以上は何者にも変え難い戦力ですし、私も介護職としてだけでなく人としての在り方・考え方など勉強になっています。)
安全に爪を切るためには、細かい部分もはっきりと見える必要があります。
年齢とともに細かいところ、近いところが見えなくなってくると
自分以外の人の爪を切ることは難しくなってしまいます。
前述した爪切りを断るデイサービスでも
看護師さんの高齢化によりやむを得ず、利用者様の安全のため断ったのかもしれません。
介護労働安定センターの令和4年度「介護労働実態調査」結果によると
65歳以上の労働者が「いる」と回答した事業所は69.1%
となっています。
在宅介護分野の中でも、訪問介護分野の訪問介護員は
従業員数に占める65歳以上労働者の比率26.3%
と特に高齢化が進んでいます。
つまり訪問介護員の4人に1人以上は65歳以上なのです。
(サービス提供責任者や介護職員は別に項目があったので、実際はもっと多いかもしれません)
「65歳以上」と聞くと若く感じますが、そのなかには80代の介護士もいますし
YouTubeか何かでは90代の現役スタッフがいる施設もあると見たことがあります。
介護に関わる職員の高齢化によって、「爪切り」という日常的なケアに影響が出るのもわかる気がします。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
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